「大丈夫?エース?」

「ん?あ、あぁ。大丈夫だぜ?」

昼飯がまだだった俺たちは、学校近くのファミレスにいた。

「そう。ならいいけど、スッゴク疲れた顔してるから」

瑠璃はそう言ってストローをくわえた。

「平気、平気!」

瑠璃は本当に心配性だ。
ちょっと様子が違うと、すぐ心配してくれる。
なんだか俺は幸せものだと思った。

「そうそう、聞いてくれよ瑠璃!」

「ん?」

「うちのクラスに変なやつが転校してきてよ!」

「今の時期転校生?珍しいね!」

「ボサボサの天パー女で、なんか不気味でよー。幽霊が見えるとかほざいてんだ」

俺がため息混じりで呟けば、瑠璃は何故か顔を輝かせている。

「へぇ!幽霊見えるとか凄いじゃん!霊感強いんだー」

「凄いとかいう次元じゃねぇんだ!とにかく薄気味悪ぃんだよ!」

「あはは!エースが怖がるなんて珍しいね!」

「べっ別に怖がってなんかねぇよ!!」

瑠璃には何でもお見通しみてぇだ。
怖がってないっていえば、嘘になる。
エース。かわいいー!
ってニコニコ笑う瑠璃を横目に、俺は頬を掻いた。

そのあと俺たちはファミレスを出て、近くのモールで買い物を楽しんだ。
瑠璃が欲しがってたペアリングを購入して、二人で左の薬指にはめる。
嬉しそうに笑う瑠璃が可愛くて、思わず引き寄せ頬に軽くキスしちまった。

「ちょっ!エース!みんな見てたよ!」

「あ?別に構わねぇだろ?」

顔を真っ赤にさせて怒る瑠璃が可愛くて、人目をはばからず抱き締める。

「もぉ!エースのバカ!」

帰り道、瑠璃は顔を膨らませてご立腹だ。

「ごめんって!」

「あんな人いっぱいいるところで、恥ずかしいでしょ!!?」

薄暗くなった近道の公園を歩く俺たち。
時間が時間だからか、人気はない。

「じゃあここならいいんだよな?」

「ちょっ!」

俺は瑠璃を後ろからぎゅっと抱き締めた。
人気のない公園は、そんなムードさえ醸し出す。
くるりと振り向かせた瑠璃の頬は、街灯の元
ほんのりと赤い。
あー。もー。ヤベェ!!

俺はその唇に優しく口づけた。
それはどんどんと、激しく。
瑠璃の口内をおかす。

「ん、ふ。」

時折漏れる瑠璃の吐息が、更に俺を掻き立てる。
その時だった。
低い低い声で、俺は名前を呼ばれたんだ。

その瞬間、ガクンと怠くなる体。

パッと唇を離し、俺は辺りを見回す。

「ど、どうしたのエース!?」

「い、いや。わりぃ」

いきなり高熱が出たような体のダルさが、ますますひどくなっていって
俺はふらついた。
そんな俺を瑠璃が支える。



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