「はぁ」

今日は午前中で学校が終わるのが、なんかとっても嬉しい。
何故ならこの俺の隣の天パーを今日は見なくて済むからだ。

しかし、明日も明後日も
卒業まで毎日こいつと会わなきゃならない。
そう考えたら登校拒否したくてたまらねぇ。

隣の天パーは月野辺霊美。
なんか幽霊が見えるらしい。
こいつの眠たそうな目がニヤリと笑った時。
俺は底知れぬ恐怖に襲われるんだ。

「えー。明日からフツーに授業が始まる!夏休みボケした奴は、今日中に頭切り替えろー!」

そう言い放つ教壇のシャンクスは、帰りのホームルーム中常にケータイいじってやがった。
てめぇが一番頭切り替えろ。
って思いながら、俺は頬杖をつく。

「エース!今日カラオケ行こーぜ!」

ホームルームが終わって、帰り支度を始める俺をサッチが覗きこんだ。

「この間知り合った海野女子高のカワイコちゃんも一緒だぜー?」

サボはそう言ってしつこいほどにそのカワイコちゃんとやらの写真を見せてくる。
バカヤロー!瑠璃にゃ敵わねぇよ。

「わりぃな。俺は今からデート! 」

そう言ってニヤリと笑ってやる。

「あー。あー。そうかい!しゃあねぇガリ勉マルコでも誘うかー」

「そろそろマルコにも女ってもんを教えてやらねぇとな!あ、霊美ーー。ってあれ?」

サボがそう言った時にはもう、あの天パーはいなかった。
さっきまで確実にいたはずなのに、もういない。

「帰るのはやっ!!」

サボとサッチはそう言って目を丸くしていたが、俺は正直ほっとしていた。

「エース!」

「おー瑠璃!」

そこへ瑠璃がむかえに来てくれた。
俺の顔が自然と綻ぶ。

「あ、サボ先輩!サッチ先輩!こんにちわ」

そう言ってペコリと頭を下げる瑠璃。

「うっひょー!!やっぱ瑠璃ちゃんは相変わらず可愛いな!」

「なぁ!今度俺とデートし・・・」

「サッチ。てめぇ瑠璃に手ぇ出したらぶっ殺すかんな」

そんな会話をする俺たちを、瑠璃はニコニコと見つめていた。

教室を出た俺と瑠璃は、ツカツカと廊下を歩く。

「ほら」

「ん」

俺が差し出した手を、瑠璃はちょっと恥ずかしそうに握った。








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