「あねごーーー!!」
「あねごーー!!待ってくれよーー!!」
何故か、サッチとサボが霊美になついている。
何故だ?
始業式に出席するため体育館に向かう俺たち。
霊美は俺の後を、ユラユラとついてきて
サッチとサボはそれを追いかける。
「あねご!今度一緒にマリントンネルに行こうぜ!」
「あそこ出るって有名なんだよ!!」
「キシシシシ。こりない人たちだなぁ。それに、そのあねごとか言うのやめてくれないかな?わたしには、霊美っていう名があるんでねぇ」
「わかったよ!霊美!!頼むよー一緒にいこうぜー!」
「お前がいりゃあ、色々安心だしよー!!」
そんな会話が俺の耳へ入っては、抜けていく。
心霊バカ達に、さっきの霊美は衝撃を与えたんだろう。
それにしても、何者なんだあの天パーは。
異様な雰囲気に、異様な札を持ってる。
あれか、霊媒師の類いなのか?
俺はチラリと後ろの霊美に視線を送る。
その時その眠そうな目と視線があった。
「キシシシシ。なんだい?エース君」
「い、いや。なんでもねぇ!」
俺は目をすぐに逸らした。
心臓が恐怖でバクバクいってる。
いままで喧嘩だって負けなしの俺は、怖いもんなんぞなかったはずだった。
こいつは何故だか俺をビビらせるオーラを放っていたんだ。
慣れればいいのかもしれねぇが、正直慣れたくもねぇ。
そんな俺の真横に、さっきまで後ろを歩いていたはずの霊美がいつの間にか
俺の歩幅に合わせて歩いている。
ゾクリと悪寒が走った。
「キシシシシ、エース君。君ってやつは憑かれやすい体質なんだねぇ」
霊美が小声でいい放つ。
疲れやすい?
悪いが、俺は体力と力だけには自信があんだよ。
そんな事を思いつつ、霊美を睨めば
奴の目がニヤッと笑った。
「増えてるよ。今朝より5人も増えてる」
「・・・は?」
「新しく死人が5人憑いてる。さっきからくっついてる生き霊3人と合わせて計8人。君にぴったりくっついてるよ」
俺はばっと自分の肩に視線を移す。
そこには当たり前になにもいない。
しかしこいつの言ってることは、多分・・・
いや、絶対に本当だ。
でも、絶対認めたくない。
「死人の方に悪意はなさそうだね。浮遊霊に気に入られたみたいだよ。生き霊の方は君次第で、悪くも良くもなる。気を付けたまえよ」
「はっ、俺ぁそんなこと信じねぇタチなんだよ」
「そうかい。そんな君に一つ良いことを教えてあげようか。君はモテるだろう?」
「はぁ?なんだよいきなり」
俺はいきなりの質問に、困惑した。
確かにラブレターは年に100通以上は貰う。
バレンタインには靴箱から雪崩のようにこぼれ落ちるチョコレート。
自分でいうのも、難だが・・・。
モテる部類なんだろう。
でも何の関係があんだよ?
「覚えておきたまえ。霊は元々人間だ。モテる人間は、霊にもモテる。つまり、君はとても憑かれやすい。その証拠に、君に憑いてる霊は皆女だよ。キシシシシ。君の事恥ずかしがりながら見つめてるぞ?」
「なっ!!」
ナニソレ。
すっげぇ勘弁なんですけど!!!
霊美は
モテるって辛いな。エース君。
と言ってニヤニヤと相変わらず不気味な笑みを浮かべていた。
憑かれやすいらしい俺は
なんだかすごく、疲れた。
二学期早々
この謎の霊感女のせいで
俺はとんでもない疲労感を感じていたんだ。
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あとがきたいむ。
突発的、学パロユルユルホラー。
ほんとは、マンキンとワンピースの混合に
しようかと思ってたんですけど
色々とネタが思い付かず、こうなりました。
では、読んでくださりありがとうございました!
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