ルピタ達はロックラックにたまたま停泊していた漁船に乗り込んだ。
なんでも旧大陸からやってきた漁船らしく、漁業を終え戻る途中だったそうだ。

運良くその漁船に乗せてもらえることになった四人は
今日も海を行く。


「っつうわけで、これが情報の全てだ!」

ジェイクが書類をトントンと整えた。

「んじゃあ、その集団とやらはミナなんとかって街に確かにいるんだな?」

「はい。ミナガルデのギルドに隣接するゲストハウスで見かけた。と書かれてますからね!」

「く、くわしいことは、現地に行ってからですね・・・」

そこへ漁船の船長がやってくる。

「おおーい。ハンターさん!ちょっとー!」

「はぁーい?」

「すまないが、昼飯の材料調達をお願いできるかな?釣りをしてれば何か掛かるだろうから!」

船長はそう言って釣竿を四本差し出した。

「お安いご用っすよー!」

ルピタはそれを笑顔で受け取った。

「わるいなぁ。こんなことまで頼んじまって」

「いいんですよ!タダで乗せてもらってるんだ!なぁ!エース!」

「おぅ!こう見えて釣は結構得意なんだ!!」

「・・・釣りが得意なエースさんも素敵です・・。」

「ん?なんか言ったか?コマチ」

「いえいえいえいえ!!!な、なんでもないです!!」

こうして四人は甲板で釣りをすることになった。


「おおー!!やったぁ!サシミウオが釣れた!!」

ジェイクは笑って釣り上げた魚を手にする。
その隣でエースの竿にも何かが掛かったようだ。

「うぉ!?なんだこの魚!?」

それはデメキンのような魚。
見た目があまり可愛くない。

「そりゃあカクサンデメキンだ。食えることは食えるかもしんねーけど、カクサンするぞ!」

「カクサンする?」

「多分体がバラバラにカクサンするんじゃねーか?あはは」

「いや。それ食ったら死ぬってことじゃねーか!!」

「それやべぇな!エース、それくれよ!後で爆弾に調合するから!」

エースはとんでもない魚を釣ってしまったと思いながらも、その不細工な魚をジェイクに手渡す。

「オンプウオが釣れました・・・」

エースの隣のコマチが釣ったのは、音符の形をした可愛らしい魚。
それを見たエースがおお!と声をあげる。

「可愛いな!!」

「・・・!!!!」

コマチは可愛いという言葉に反応してか、いつもの如く口をへの時に曲げて顔を真っ赤にさせている。

「わわわわわりぃ!!俺なんか変なこと言ったか!!?」

そんなコマチの横で、ルピタは海面を険しい表情で見つめていた。

「ど、どーした?ルピタ?」

エースが聞くのと同時にルピタは竿を思いきり引いた。

「うぉおう!!こりゃあ大物ですぞーーー!!」

ルピタはそう言って歯を食い縛る。

そして釣り上がったのは

「ガノトトスだぁああ!!!」

魚とトカゲを足して2で割ったような容姿をしたモンスター。ガノトトスだった。

「でか!!」

「うひょおお!俺ガノトトス釣れるとこ初めて見たぞ!!」

「か、可愛くないです!!」

「エエエエースたいちょーー!早めにこんがりガノトトスにしてくださーーい!!」


エースの炎でこんがり焼けたガノトトス。
それが今日の昼飯になることになった。
エースの能力を初めて見たコマチは、最初こそ驚いていたが
すぐに頬を赤らめて

「・・・メラメラするエースさんも素敵です・・。」

と一言。

何だかんだで適応力が人一倍あるようだ。


そんな四人を乗せた漁船は何日かの航海を終え、ようやく旧大陸へとたどり着く。
漁船の船長や漁夫達に別れを告げたあと
目指すのは西シュレイド地方にあるミナガルデだ。
それも港からは遥かに遠く、ついたのはユクモ村を出てから一週間も経った頃だった。

「いやぁ。遠かったな!」


ジェイクはそう言って街を見渡した。

ミナガルデは切り立った崖の中腹に存在し、わずかな平地や洞窟を中心に構成されている。
周りは危険モンスターがわんさかといる生息圏で
ハンター達にはもってこいの街だ。

「そういやぁ俺旧大陸初めてだ!」

「わ、私もです!」

新大陸で生まれ育ったジェイクとコマチは、初めて見る旧大陸の街に興味津々なようだ。

「俺は何もかも初めてだな」

エースは無論。異世界からやってきたので何もかもが新鮮に映る。

「懐かしいなー!ミナガルデ!」

旧大陸出身のルピタは、そう言ってにんまりと笑う。

「そうか!ルピタは旧大陸出身だからな!確か・・・ポッケ村だよな!」

「うん!村の皆元気にしてるかなー」

「ポッケ村?」

エースが聞けば、ルピタはキラキラとした眼差しを向ける。

「はい!山奥にあるちっさい村なんすけどー!皆優しくていい人ばっかり!!年中寒いのがたまに傷なんすけどねー!」

エースはふーん。と素っ気ない返事を返す。
しかし、
こいつが生まれ育った村をちょっと見てみたい。
と思ったのが本心だった。

情報を集めるため、二手に別れ街を散策することに
ジェイクとコマチは市場の方へ
ルピタとエースはギルドへ向かうことになった。

「すいませーん!」

ギルドへと到着し、ルピタが声をかけた先にいたのは若い女性。

「はい。なんでしょうか?」

「あれ?ギルドマスターは不在ですか?あの・・・変な口調の・・・」

「ああ!先代でしたら、今は引退されまして・・・出身の村で隠居生活を・・。私が今は受付兼ギルドマスターをしております」

「ああ。そうなんですか」

ルピタはそう言って残念そうに眉を下げた。

「ユクモ村のギルドマネージャーから話は伺っております。ルピタさんですよね?」

「あ、はい!」

「ゲストハウスに宿泊していたあの団体様の事ですが、3日ほど前にこちらを発たれたようで今はいないのです」

女性は申し訳なさそうに眉を下げた。

「そうですか・・・」


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