それから数日。

「ん。」

眩い朝日に目を細め、チチカナは体を起こした。
久々の穏やかな朝に、ふっと頬が緩む。
そして自分の左腕に視線を移した。

ミラルーツが授けたその左腕には、あの白い鱗はなく
普段通りの素肌が覗く。
確かめるように拳を握り、そして解けば
当たり前のように動く指達。

しかし、チチカナには確かに何かが感じられた。
そこに息吹く何かが。

「これがわたくしの償い・・・」

ポツリと呟いたその時。
扉が開く。
入ってきたのはルピタだった。

「チチカナ・・・」

「ルピタ・・」

驚いたように目を見開いたルピタ。
そして口をへの字に曲げて、チチカナに抱きついたのだ。

「ごめんなさい。心配をかけましたね」

「いいんだよっ・・・チチカナが無事でっ、良かった!!」

「わたくしは償います。この世界に、そして全てに。それでもわたくしと友達でいてくれますか?」

「当たり前じゃん!!これからもずっと、ずーっとよろしくね!!」

涙目なルピタがにんまりと笑えば、つられるようにしてチチカナも笑った。

「待ってて!皆を呼んでくる!」

ルピタはそう言って部屋を出た。
しばらくすれば・・・


「うぉおおんん!!チチカナちゅわーーーん!」

「目ぇ覚めたかよい!」

「にゃー!おはようにゃー!」

「おせぇぞチチカナ!」

わいわいと集まるモビーの船員達。
チチカナの部屋は一気に人口密度が増した。

「ちょっ!押すんじゃねー!」

「サッチ隊長こそ!リーゼントが邪魔だ!」

「んだとーー!」

「喧嘩してんじゃねーよ」

「少し落ち着けよい」

「にゃーーっ!誰にゃ!ボクの尻尾を踏んだのは!!」

「皆さん!!静かにしてください!チチカナは病み上がりなんですーー!」

「おめぇの声が一番でけぇよ!!」

そんな皆を見てチチカナは流れた一筋の涙を細い指で拭う。
そして笑った。


「グラララ。賑やかだなぁ」

「ああ。賑やかだ」

そんなチチカナの部屋の前で
白ひげとマーベルはその光景を眺める。

「チチカナもルピタも、ついでにリィリィも。俺の大事な娘、息子だぁ」

「オッサン。悪いがアイツらはあたしの娘だぞ?」

「グラララ!!そうかい。なら二人の娘、息子だなぁ!」

「あっはっは!!全く愉快なオッサンだ!」



晴天の空に
青い海。
モビーディック号は歓喜に沸きながら
飛沫をあげて進む。

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