ズリズリと這い寄るその者は、落ちていたランスをグッと掴む。
そして、それをエース達にむかい投げたのだ。

「ちっ!なんなんだよ!気持ち悪ぃな!!」

エースは飛んでくるランスの前に立ちはだかると
それをすれすれでヒラリとかわし、ガシリと柄を掴む。

「大人しく寝てろ!!」

そしてそれを這い寄るその者に向かい突き立てた。
ドスッという鈍い音。
その人物はバタバタと抵抗するが、そのうち動かなくなった。

「・・・なんなんだよ。こいつら」

「人間じゃないことは間違いなさそうですね。やっぱりゾンビなんだ・・・」

エースとルピタはドンドルマでの事を思い出した。
鎧の中の腐った本体。
そして消える死体。

ピクリとも動かなくなったその者はそのうちどろどろと溶けだし、辺りにはとてつもない腐臭が漂う。

カランと銀の鎧と腐臭だけを残し、その者は消え去ったのだ。

「うぇっ・・・やべぇ臭いだな」

「っ・・・。ヤバイっすねこれ」

「は、鼻がひんまがるにゃ・・・・」

「オェエエ。サッチにぃさん吐きそう。色々吐きそう」

そんな一同の元へ、ジェイクが飛竜の撃退を終えたマーベル達を連れてくる。

「おおーい!・・うっわ!くせぇ!なんだよこれ」

ジェイクは顔をしかめた。

「何事だよい!」

「っ!きゃあっ」

マルコ達もやってきて、その現状に目を見開く。
コマチは顔を手で覆いそれから目を逸らした。

「こりゃあ・・・。」

マーベルは鼻を腕で押さえ、人だったものに近づくと膝をついてまじまじと見つめる。

「・・・マーベルさん?」

「こうなった経緯はわからねぇが、とにかくこいつを水葬してやれ。」

マーベルは立ち上がると、自分の部下を見つめた。

「はっ!」

部下はそう言って敬礼をする。



先程までの戦闘が嘘のように、船内はシンと静まり返っていた。
人だったその者を水葬する。
重りをつけた樽の棺は
暗い海へブクブクと沈んでいった。


それを月明かりだけが照らしている。


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あとがき
もう突っ込みどころが満載で(略)
アクションって表現が難しいです・・・
色々と撃沈(ノ_・,)
この間ナルガの希少種を狩りにいって、どうしても出したくて
登場させました(笑)
消えるのが厄介です←

では読んでいただきありがとうございました!



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