「火拳っ!!!」

希少種は、顔面に炎の拳を叩きつけられ
悲鳴を上げながら仰け反った。

「よっしゃ!効いてるぞエース!!」

その隙を見逃さず、ジェイクが足を双剣で切りつければ
バチバチと青い閃光が走る。
ナルガの希少種はたまらず転倒した。

「っこンにゃろ!!」

そこへルピタが大剣を叩きつければ、ナルガの希少種の額から鼻筋にかけて
大きな傷が走った。

ナルガの希少種は立ち上がると
ぶわりと飛び上がり間合いを取る。

その目に宿るのは紅い眼光。
それはナルガの希少種が動くたびに、残光として残り紅い筋を残す。
これは、怒り状態に入ったナルガクルガ全種に共通で見られる変化だ。

ナルガの希少種はすぅっと肺に空気を吸い込むと、凄まじい咆哮を轟かせる。
揺れる鼓膜を保護するために、三人は耳をふさいだ。
ビリビリと体に感じるほどのその咆哮の後。
ナルガの希少種はまたもや姿を消す。

「怒り状態。この時を待ってました!」

「あァ!!?」

ルピタはにんまり笑うと、大剣をぐぐっと後ろにひき構える。

「怒り状態のナルガは、目が紅く光り、動くたびに残光が残るんです。それは霧隠れ状態でも光り続ける。つまり・・・姿が見えなくても、その光を頼りに姿を追えるんです!」

ルピタの言う通り、紅い残光は
ふわり、ふわりと移動している。
そしてそれは、ルピタの目の前までやってきて
姿を現した。

飛びかかろうとするナルガの希少種はその紅い眼光をルピタに向けている。

タイミングを計り、ルピタが空中のナルガの希少種に大剣を思いきり叩きつければ。
ナルガの希少種は悲痛な叫びをあげて、ドサリと落ちた。
そしてその白い体はピクリとも動かなくなったのである。



「うぉおおりゃあ!!」

「にゃあああ!!」

サッチとリィリィは一丸となってその銀色のその人物へ攻撃を繰り出す。
が、それは大きな盾により防がれてしまうのだ。

「ちっ!あの盾が邪魔だな!」

「ボクがにゃんとかするにゃ!!」

「あ、おい!!」

リィリィは四足を使い、その人物まで駆けた。
そして、盾を持つ左手へ回り込むとざっとブレーキをかける。
飛び上がり武器を大きく振り上げ、盾を持つ左腕目掛けて降り下ろした。
防具と防具の繋ぎ目を狙い、リィリィの武器の刃がズッと食い込んでいく。

そしてその腕は盾ごと床に落ちた。

「にゃあああ!!」

「リィリィよくやった!!」

サッチは、防御出来るものがなくなったその人物に向けて
双の刃を繰り出した。
それはズブリと防具、そして腹を貫く。

その人物は力なく床に倒れた。

「にゃあ!勝ったにゃー!」

「このイケメンリーゼントサッチ様を怒らすとこうなるんだぜ?」

互いに顔を見合わせにんまり笑うサッチとリィリィ。
その時だった。
力尽きたはずのその者がユラリと起き上がり、物凄いスピードで二人に近づく。

「にゃあああ!!サッチ隊長!!」

「え」

それに気づいた時には、サッチはその者に首を捕らえられ、ダンと壁に押し付けられていたのだ。

「あっ、が・・かはっ・・」

ぐぐっと首を押さえつけられたサッチは、苦しさに顔を歪める。
そしてなんとか手に持った刀で攻撃を試みるが、ゆるゆると腕の力が抜けていく。
ついに、かしゃんと床にその二刀が落ちたのだ。

「にゃあああ!!サッチ隊長をはなすにゃーー!!」

リィリィは涙目で、武器を片手に向かっていくが
思いきり蹴飛ばされてしまう。
その小さな体が中を舞った。

「リィ・・・リィ!・・ぐぅっ、がぁっ、あ!」

ギリギリと締め上げる力が強くなる。
サッチはその者を睨み付けるが、だんだんと無くなる意識を繋ぎ止めるのに必死だ。

もうだめだ。

サッチがそう思ったその時。
その者を炎が包む。
仰け反ったその人物は、サッチから手を離した。

「大丈夫か!サッチ!リィリィ」

エースは倒れるリィリィを抱き上げると崩れ落ちるサッチに駆け寄った。

「ごほっ!ごほっ!・・・はぁっ、はっ。おぅ。エース・・」

サッチは息を整え、エースを見上げてにんまり笑う。
しかし火だるまになりながらも、サッチを襲おうとするその人物。
瞬間、その者の首が飛ぶ。
素早く首を落としたのは、ルピタの大剣だった。

ゴトリと嫌な音を立て
ゴロゴロと転がる首。

「サッチ隊長!リィリィ!」

ルピタもサッチとリィリィの元へ駆け寄った。

「大丈夫ですか!?」

「おぅ。死ぬかと思ったけどな」

「にゃあああ!!いたいにゃーー!死ぬにゃーー!!」

サッチはにんまりと笑い、リィリィは蹴られた腹部を押さえのたうち回る。

「ったく大袈裟だなぁ!」

そう言って笑うルピタの表情がすぐに険しく変化する。
バッと後ろを振り向けば
首を落としたはずのあの者が這うようにしてこちらへ向かっているのだ。

「な、なんで!!」

「ぎゃあああああ!!!お化けーーーー!!」

「ギニャアア!!!ゾンビにゃ!!妖怪首なしにゃあああ!!」

サッチとリィリィは抱き合いながら顔を真っ青にして叫んだ。





|
back

「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -