その言葉にエースはハッとした。
この世界は自分達がいるべき世界ではない。
いつか帰らなきゃいけない元の世界。
それは同時にルピタ達との別れが
遅かれ早かれ来るということだ。

「ルピタ・・・あのよ!!」

エースがそう言いかけたその時だった。

ルピタはバッと立ち上がると、見張り台から乗り出すようにして辺りを双眼鏡を使い見回し始めた。

「どうした!?」

「ヤバイです。来ます。それも何十って数・・・」

「まじかよ!!」

エースはルピタから双眼鏡を奪うように取ると、それを覗きこむ。
そこには、何十匹という飛竜の大群が映し出される。
ルピタが急いで見張り台に備え付けられた警鐘を鳴らす。

「敵襲だぁああ!!!起きろてめぇらぁあ!!」


加えてエースが見張り台から叫べば、甲板で眠っていたクルーが起き出した。
ギルドナイト達もバタバタと甲板へ飛び出してきた。

そんな二人の耳に悲鳴が入ってくる。

「っぎゃああ!!」

「なんっ・・ぐぁああ!!」

それはなんとも不思議な光景だ。
なにもいるはずのない空間。
しかし、何者かに攻撃されているかのように
クルーの体が宙を舞う。

「なんだありゃ!?何に吹っ飛ばされてんだよ!」

「・・・まさか!」

ルピタは見張り台から素早く飛び降りる。
それを追うようにエースも飛び降りた。
着地すれば辺りを注意深く見回す。

「ルピタ!エース!」

そこへ双剣を構えたジェイク。
ライトボウガンをたずさえたコマチがやってくる。

「おぅ!大丈夫か!?」

「ああ!警鐘が鳴ったから急いで来たんだ!」

「飛竜の大群がくる!!備えて!・・・まぁ、その前に注意しなきゃなんだけどね」

ルピタは大剣を抜くと素早く構える。

するとまたもやクルーが見えない何かに攻撃された。
うめき声を上げ、宙を舞う体。

ジェイクはエースに視線を向けた。

「な、なんだよ!あれ!」

「わからねぇが、この船になんか居やがるみてぇだな・・・」

エースは辺りを警戒し、ジェイクとコマチもそれに伴って警戒する。

「おいおい!!なんだよこりゃあ!」

そこへやってきたサッチとマルコとリィリィ。
負傷したクルーを抱き起こし叫ぶ。

「にゃあ!すぐに手当てするにゃ!」

「エース!何か確認できたのかよい!」

「いや、飛竜の大群が上空に確認出来たが、この船で何が起こってんのかは確認できねぇ!」

するとマルコは眉を寄せて舌打ちをした。

「ちっ!空からも来るってぇのに、船にも何か居やがるのかよい!」

未だに何者かに攻撃を受け悲鳴をあげるクルー達。
混乱に陥るモビーの上空には、飛竜の大群が近づいていた。

「くそっ。もう来やがったのか!」

「エース。俺は上をなんとかするよい。」

「マルコさすがに危険だ!」

「俺を誰だと思ってんだい?白ひげ海賊団一番隊隊長、不死鳥マルコ。ちょっとやそっとのことじゃあ死なねぇよい!!」

マルコは言い終わる前に地を蹴ると上空へと飛び立った。

「グラララ!!派手に来やがったなぁ。」

「ああ。しかもとんでもねぇもんが、既に乗ってやがる」

そこへ現れた白ひげと、マーベル。
マーベルは鋭い眼光で、ある一点を見つめていた。
そして大剣を抜くと素早くその一点へ向かい地を蹴る。

「わりぃがあたしの目は誤魔化せねぇな!!」

何もないその空間に向かって
マーベルが大剣を降り下ろした。

それと同時に、吹き出す血飛沫と上がる悲鳴。


船に乗る何者かが、姿を現したのだ。


next→



| ≫
back

「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -