宴の準備が整えば、白ひげが大きな杯をかかげ叫ぶ。

「これから家族を迎えに行く!!戦の前の宴に乾杯だ!!グラララ!!」

モビーのクルーも、特殊部隊の隊員も
歓声を上げた。

その光景は、ハンターと海賊達が打ち解ける
何とも不思議な光景だ。

「どんちゃん騒ぎが好きなのか?海賊ってぇのは」

白ひげの隣で酒を煽るマーベルがボソリと呟けば、白ひげは豪快に笑う。

「グラララ!おめぇさんも大いに飲んで食え!!腹がへってはなんとやらだ」

「そうだな。それにしても陽気な連中だ。あんたの息子達とやらは」

「あぁ。どいつもこいつも、一癖二癖ある連中だけどよ。それだって俺の可愛い息子達だ」

「ああそうかい」

マーベルはクスリと笑って、また酒を煽る。
そんなマーベルに白ひげが視線を移した。

「おめぇ。俺の娘になんねぇか?」

「冗談はよしてくれ。娘なんて歳じゃないんでね」

「グラララ!なに言ってやがる。俺から見りゃおめぇさんはハナタレのガキだ」

「そりゃあ、60年も生きた人間に言う台詞か?」

マーベルがそう言って白ひげを見上げれば、白ひげは飲んでた酒を吹き出した。

「グラララ!こりゃあ驚いた!すまねぇな!」

「わかってくれりゃあいいよ」

「娘になれと言うよりか、嫁になれだな!!グラララ!!」

「あっはっは!まったく愉快なおっさんだ!」


マーベルと白ひげはそう言って共に笑う。



「ルピター!飲んでるか?」

「あ、エース隊長!」

「なんか久々だな!モビーで飲むの」

エースはそう言って笑う。
そんなエースにルピタも笑った。

「あはは!確かに!・・・次はチチカナも一緒に・・ですね!」

「おぅ!あたりめぇだ!」

エースはにぃっと笑うとルピタの隣に腰を降ろした。
二人が見つめる先には、ハンターと海賊が共に笑いあいながら
酒を楽しむ姿がある。

「なんか不思議だな」

「あ、それ私も思ってましたー!」

「だよな!こうしてこっちの海をモビーで航海してるってぇのも不思議だしよ」

「確かに・・・。まさにギルド海賊団!ですね」

「なんだそりゃ?」

「え?ギルドナイトと白ひげ海賊団が一緒になってるからですよー!」

「ぷっ!バカじゃねーのお前!」

「え!!!?」

ルピタは久々にエースのイキイキとした笑顔を見た気がした。
そんなエースに目を細め、ルピタは酒瓶ごと酒を煽る。


その夜。
宴が幕を閉じ、辺りは静けさだけが包んでいた。
モビーは暗闇の海を進む。

ルピタは見張り台で、こんがり肉を焼きながら見張りを続ける。

「んんー!異常なし!・・っあちち!」

焼けたばかりのこんがり肉をハフハフしながら頬張ると、それに似つかわぬ鋭い眼光を
闇夜に向ける。
欠けた月が雲の隙間からそんなルピタを照らし出した。

「よ!」

「あ!エース隊長」

見張り台に上がって来たのはエースだった。

「冷えるだろ。ほら」

そう言ってエースが手渡したのは毛布。
ルピタはそれを受けとると、にんまり笑う。

「ありがとうございます!あ、お礼にこれどうぞ」

「サンキュー・・・ってこれ。食いかけじゃねーか!!!」

「しょうがないなぁ。新しく焼いてあげますよ。ったく」

ルピタがブツブツ言いながら新しく肉を焼こうと肉焼き機に肉を乗せようとすれば、それをエースが取り上げた。

「いいよ。自分で焼く」

「あっ!そうか!エース隊長は肉焼き機人間でしたね!じゃあこれもお願いします!」

「・・・頼むから肉焼き機人間って言わねぇでくれよ」

エースはルピタから大量に押し付けられた生肉を見つめため息を吐く。



「あのエース隊長。」

「あ?なんだよ」

黙々と肉を焼くエースにルピタが声をかける。

「・・・いや。なんでもないです」

「んだよ!気になるから言えよ」

眉間にシワを寄せるエースにルピタが視線を移す。
その表情は泣きそうな笑顔で
エースの心臓がどきりと跳ねた。

「チチカナが帰ってきたら一緒に狩りにいきましょうね!」

「おぅ」

「後は・・・またユクモ村に温泉でも入りにいきますか。今度はモビーの皆も一緒に!」

「おー。あそこの温泉は良かったな!きっと皆喜ぶぜ!オヤジの体にも良さそうだし」

「あそこの温泉は色んな効能がありますから!きっとオヤジさんの体にも効きますよ」

ルピタはそう言って瞳を伏せた。
そしてポツリと呟くように放つ。

「エース隊長達はいつか帰らなきゃいけないから・・・」



|
back

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -