街は半壊状態だった。
所々上がる火の手の消火がやっと終わる。
辺りからはすすり泣く声や、悲痛な叫びがこだました。

街外れにある空き地。
そこには先程の奇襲により命を落とした住民や、ハンター達の簡易な墓が立てられる。
幾つも広がる木で組み合わせた十字架が風に晒されていた。

マーベルは先程のハンターの亡骸を丁寧に埋葬すると
立ち上がる。

「ひでぇ・・・」

街を見回したサッチがぼそりと呟いた。

「こんな一斉にモンスターが街を襲うなんてありえないことにゃ。一体何が起こってるのにゃ?」

リィリィはそう言って項垂れる。


「マーベルさん!マーベル・スティンガーさんはおられますかな!!」

そこへ一人のギルド関係者がやって来た。
手には封書を持ち、慌ただしい様子で辺りを見回している。

「あたしだが?」

マーベルはその関係者の男に近づいた。
すると男はマーベルに封書を渡したのだ。

「ギルドの緊急速達です!」

「・・・」

マーベルはそれを無言で開くと、ピクリと眉を上げた。
封書を畳みポーチへ仕舞うと、くるりとマルコ達へ振り返ったのだ。

「おい。」

「なんだよい」

「お前達があたしに預けたあのヘンテコな虫・・・」

「ああ。電伝虫のことかい?」

「あれをもう一匹貸してもらいたいんだが。今からの任務に使いたいんだ。」

「任務」

「ああ。急ぎの任務ができちまった。わりぃがモガの村には行けそうもねぇ。でも、その任務であの虫が役に立ちそうなんだ。頼む」

マーベルはそう言ってマルコに頭を下げた。

「わかったよい。あんた。今からどこへ向かうんだ?」

「旧大陸だ。」

「なら俺たちも同行させてもらってもいいかよい?エース達の詳しい情報を知ってるのはあんただけなんだ」

「わかった。ただし旧大陸のミナガルデまでだ。そこからは同行させてやれねぇ。それでもいいか?」

「かまわねぇよい。なら俺たちはそのミナガルデとやらにしばらく停泊することにするよい。あんたの任務が終わり次第そこで合流しよう。・・・いいか?オヤジ」

マルコは白ひげを振り返る。

「俺ぁかまわねぇ!それであのハナタレ共と会えるんならなんだっていいさ!」

白ひげの了承を得て、今後の予定が決まる。
マルコはふっと上空を見上げた。
彼には引っ掛かることが一つ。

あの銀色と金色の飛竜。
そこに乗るあの人影。それは髪の長い女に
見えたのだ。
そしてあの笛の音。

まさか、いや。そんなまさかな。



こうしてモビーディック号は

動き出す。


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あとがき。
白ひげさんはとにかく強い。
ナルガ位なら余裕で砲丸投げできます!!
っていう妄想が
膨らみすぎました←

では読んで下さりありがとうございました♪



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