リィリィが持つビブルカードは
相変わらず不自然な動きを続けている。
モビーはそれを頼りに船を進めていた。
しばらくすると陸地が見えてくる。
リィリィがそれを見て声をあげた。
「・・・ロックラック・・・・間違いないにゃ!!あれはロックラックの港にゃあ!!」
「ロックラック?」
「聞いたことねーぞ」
ふたたびざわめくクルー達。
そんな中マルコがリィリィに声をかけた。
「リィリィ。見覚えがあるのかい?」
「あるにゃ!あれは新大陸の中枢都市ロックラックにゃ!!間違いないにゃ!ここはボク達がいた世界にゃ!!」
マルコは白ひげに視線を移す。
「おい。リィリィ。間違いねぇんだな?」
「ハイですにゃ!」
「わかった!おい!あのロックラックとやらに停泊するぞ!!」
白ひげがそう言えば、クルー達はバタバタと準備を始めたのだ。
「でもよオヤジ!ビブルカードが指してんのはあの島じゃねぇよい!」
「わかってる。でも、とりあえずこの世界を視察しとかねぇとなぁ!リィリィ。この世界を知ってんのはおめぇだけだ!頼んだぞ!グラララ!!」
「は、はい!!ですにゃ!それじゃあまず、海賊旗をしまってくださいにゃ!」
リィリィの言葉に、クルー達の動きが止まった。
そして一斉にリィリィに詰め寄ったのだ。
「何故だ!!」
「この旗は俺たちにとって命なんだ!」
「それをしまえとは何事だ!!」
「黙れ!アホンダラァ!!・・・リィリィ理由を聞かせて貰おうか?」
白ひげの怒号に大人しくなるクルー。
リィリィはオドオドしながらも理由を述べる。
「こ、この世界の海賊はとても野蛮な人達が多いにゃ!だから、この世界の人々はあまり海賊を良く思ってないのですにゃ!港には街の警備部隊もいるし、海賊旗をつけたまま港に入るのは難しいと思われますにゃ!」
「なるほどなぁ。わかった。おい!旗を下ろせ!」
白ひげの言葉にクルー達は納得し、旗を下ろし始める。
「でもよい。港に入れてもこの大所帯をどう説明するんだよい」
マルコの質問に、リィリィはうーんと唸る。
そしてあることを思いついたのだ。
「にゃ!良いこと思い付いたにゃ!」
「大道芸一家もびーでぃっく?」
「聞いたことないなぁ。それにしても立派な船だ」
「にゃ!最近設立したにゃ!ボクが団長のリィリィですにゃ!」
ロックラックの港についたモビーディック号は、警備隊に尋問を受けていた。
この世界では、モビーのような大きくて高度な造りの船はない。
そんな船に乗ってきた大所帯に警備隊の不信感はつのるばかりだ。
「にゃ!この船はボクが・・・その、頑張って作りましたのにゃ!」
「アイルーの団長さんが?」
「この船の素材は何を使っている?見たことない素材だな」
「そ、それは企業秘密にゃ!」
「・・・・」
「と、とにかく!怪しいものではないにゃ!人の笑顔を愛する、ただの大道芸人の集まりにゃ!」
「・・・まぁいい。わかった。」
警備隊はリィリィの必死の説得により、しぶしぶモビーの停泊を許可した。
「みなさーん!オッケーでしたにゃ!」
「おお!ネコやるじゃねーか!!」
「見直したぜ!!ネコ!!」
「ネコじゃないですにゃ!!いだ!いだだ!!もっと優しくナデナデしてくださいにゃ!!」
モビーに戻ったリィリィはワシャワシャとクルー達に撫でられる。
「よっし!散策だ!!」
サッチはそう言ってリィリィを抱き上げると、自慢のリーゼントに乗せる。
「グラララ!!それじゃあ早速・・・」
白ひげが立ち上がろうとすると、数人のナースに止められる。
「ダメですよ船長!」
「点滴のお時間です!」
「それに、こちらの気候が体に触るかもしれない。不用意に動いちゃダメ。と船医さんからの命令です!」
「・・・・」
さすがの白ひげもナース軍団には敵わないようだ。
「オヤジ!任せろ!」
「ここは俺たちで情報を集めるよい!」
「・・・すまねぇな」
こうして白ひげ海賊団何隊かに別れはロックラックの地を踏んだ。
リィリィ、サッチ、マルコの3人は中心街を散策することになった。
「それにしても、広い街だ!」
「にゃ!ロックラックは新大陸の中枢都市!おっきいし色んな情報も沢山にゃ!」
「新大陸ってことは、旧大陸もあるのかよい?」
「さすがマルコ隊長!頭の回転が早すぎるにゃ!その通りにゃ!この新大陸より遥か離れた場所に旧大陸があるにゃ!旧大陸にはこのロックラックより栄えたドンドルマという街があるにゃ!」
「へぇー!じゃあかなり広い世界なんだなぁ!」
「そんな広い世界で、エース達を探すとなると・・・かなり大変そうだい」
「ビブルなんちゃらが指し示す方向と、三人の情報を頼りに探してくしかないにゃ」
そんな三人がたどり着いたのは大きな酒場だった。
「ここはロックラックいち大きな酒場にゃ!ここには色んな所から旅人やハンターが集まってるにゃ!」
「ほぉ。それじゃあまずはここで聞き込みするか!」
「そうするよい!」