「にゃー・・・」

今日もモビーディック号は大海原をゆく。
リィリィは船頭で、マルコから預かったエースのビブルカードを手にその大海原を見つめていた。
エース達が消えてから、1週間以上の月日が経っていた。

「にゃ。このビブルなんちゃらは本当にその人を指すのかにゃ?」

リィリィは自分の手のひらにある肉球にそっとそれを乗せる。
しかし、それは動くこともない。
リィリィはここのところ毎日こうして
ビブルカードが何らかのアクションを起こすのを待っていた。

「やっぱりエース隊長達はこっちの世界にいないのかにゃ?」

リィリィはそう言って深いため息をついた。

そんなリィリィの目に、懐かしい島が入る。

「にゃ。あれは」

それはリィリィ達がこの世界に初めて来たときにいた無人島だった。

「懐かしいにゃ。あそこでボク達はエース隊長に拾われたにゃ。」

そんな独り言を呟きながらリィリィは項垂れた。

「おーい!リィリィ!飯だぞー!」

そこへサッチがやって来る。

「ビブルカード監視おつかれさん!でも、食うもん食わねぇと・・・」

「サッチ隊長。今日もビブルなんちゃらに動きはないにゃ」

そう言って項垂れたリィリィを、サッチは眉を寄せて悲しげに見つめた。

「ん?なんだありゃ?」

そんなサッチが海上に視線を移す。
リィリィもそちらに視線を移した。

そこにあったのは、黄金に光る巨大な光の帯だった。
ゆらゆらと海上を漂うようなそれに、サッチとリィリィは釘付けになる。

「なんにゃ?あれ?新手の海草かにゃ?」

「あんなでけぇ海草あるわきゃねぇだろ!!」

モビーはどんどんと光の帯に近づいていく。
すると、リィリィの手のひらにあったビブルカードがカサカサと不自然な動きを始めたのだ。

「にゃ?ビブルカードがカサカサしてるにゃ!!」

「まじかよ!!待ってろ!いま皆を連れてくる!!」

サッチはそう言って大きな声をあげ皆を呼びにいった。

「どうしたぁ!リィリィ」

「何かあったのかよい!!」

甲板に集まるクルー達。
そのクルー達も皆あの光の帯に驚愕していた。

「ビブルなんちゃらがあの光の帯を指してるにゃ!!」

リィリィの言葉に、マルコがそれを覗きこむ。
そして目を見開いたのだ。

「本当だい・・・。ビブルカードは間違いなくあれを指してるよい!!」

「グラララ!!おもしれぇ!!このままあの帯に突っ込むぞ!!」

白ひげがそう言えば、クルー達がざわめき出す。

「まじかよ!!オヤジ!!」

「あぶねぇって!!」

「ビブルカードは間違いなくあれを指してんだ!もしかしたら、あの先にバカ息子とバカ娘が待ってるかもしれねぇじゃねぇか!!」

ざわめくクルー達をよそに、白ひげは豪快に笑った。

モビーは光の帯の目の前まで来ていた。

そして

「の、飲み込まれるにゃーーーー!!!!」

リィリィの叫びと共に、モビーディック号はグランドラインから姿を消したのだ。


その閃光に目を瞑る。
そしてその目を開いたとき

モビーディック号は海に漂っていた。
グランドラインの海と何一つ変わらぬ海。

「な、なんだ?」

「・・海だ。」

クルー達はキョロキョロと辺りを見回す。
そしてホッと一息ついたのだ。

「な、なんだ!何も起きなかったな」

「あ、ああ!なんだったんだ!」

しかし、白ひげの眼光は鋭く辺りを見回していたのだ。

「ちげぇ。ここは俺の知ってる海じゃねぇな」

その白ひげの一言に、クルー達も辺りを見回す。

「航海士!!エターナルポースとログポースどっちでもいい!持ってこい!!」

「は、はい!!」

白ひげは航海士が持ってきた
ログポースを見て笑ったのだ。

「グラララ!!こりゃあ驚いた!!」

白ひげが持つログポースの針は
壊れたかのようにくるくると回っている。

「オヤジ・・・ってことは」

「ああ。ここはグランドラインじゃねぇ。ってことはこのログポースもエターナルポースも使い物にならねぇってことだぁ」

「「えええーーー!!!!」」

クルー達の絶叫が広い海にこだました。


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