それぞれ準備を終えたハンター達はぞろぞろとギルドへ集まる。
ルピタ達もそこへと戻った。

外は薄暗く、夜の訪れを告げようとしている。
一般人居住区には避難勧告が出され、武器を持たない街の人々もギルドへと召集された。


ルピタ達はアーティアと共に
南側の迎撃ポイントで守りを固める。
辺りは暗くなり、防衛ポイントに置かれた燭台に灯りが灯された。
満月が顔を見せ始める。
その時だった。

滅竜砲と呼ばれる大きな大砲を扱っていたハンターが声をあげた。

「何かが数体、こちらへ向かっています!」

備えられた特殊スコープを覗き込みそう言ったハンターにアーティアが視線を移す。

「確認出来るか?」

「いえ、まだ遠くて確認出来ません」

しかしそれの正体はすぐに明らかになる。

「正体確認出来ました!飛竜です!リオレイア希少種とリオレウス希少種・・・二体です」

「撃てるか?」

「この距離なら可能です!」

準備を整え、それを撃ち込もうとするハンターの顔が青ざめていく。

「どうした!?早くしないと・・・」

「だ、ダメです!撃てません!ひ、人がっ・・・リオレイア希少種の背中に人が乗っています!!」

「人!?」

アーティアがスコープを覗き込んだ直後、リオレイアと、リオレウスの希少種は上昇し
スコープの視界から姿を消す。


その瞬間だった。街の中心の方でドォンという爆発音が鳴り響く。

「なんだ!?今の音は!!」

「中心街からです!」

「アーティアさん!私達が様子を見てきます!」

ルピタはそう言って駆け出した。
その後ろをジェイク、エース、コマチが追う。

中心街へ走る一同の耳に、狼の遠吠えのような咆哮が聞こえた。

「この咆哮はっ・・・ジンオウガ!」

「ジンオウガってあの青くて電気ビリビリの!?」

「そうです!でもおかしい・・・!ジンオウガは新大陸のみで生息が確認されているモンスターなのに・・」

ルピタが言い終わる前に、横の家屋が破壊された。
爆炎と煙をあげ、バラバラになった家屋の破片が四人の行く手を阻んだ。

「うっ!!」


煙の中から現れた存在に
一同は驚愕する。

それは

ごく最近になって存在を知られるようになった新種 の大型竜。

黒曜石を含有する光沢をもつ群青色の外殻と大き く発達した前脚、そして角のように突き出た頭殻が特徴だ。
その名はブラキディオス。

「サ、サッチみてぇだ!すげぇリーゼント!」

エースはその立派な頭殻に、サッチを思い出す。

ブラキディオス、ジロリと四人を睨むと
大きな咆哮をあげる。
そして前脚をベロリとなめ回すと、その拳のようなそれを四人へ叩きつけた。

「うわぁ!」

拳が叩きつけられた場所には蛍光色の粘液のようなものが付着している。

「うぇっ!なんだあの液体っ!うわぁ!俺の足にもついてやがる!!」

エースはそう言って地面と自分の足に飛散した粘液を交互に見つめる。
それを見たルピタが叫んだ。

「早くその粘液を払い落としてください!!」

「え!?」

その瞬間だった。
粘液が段々と色を変えていく。
そして

「っつう!!?」

ドォンという音と共に爆発を起こしたのだ。
エースの足は炎と化すが、その威力に負荷がかかったようだ。
顔を歪め、唇を噛み締める。

「エース!!」

「っ大丈夫だ!!」

「ブラキディオスの粘液は特殊で、強烈な爆発を起こすんだ!くっつかねぇように注意しねぇとダメだ
!」

「まじかよ!おっかねぇ化けモンだな!!」

ブラキディオスは特殊な粘液を持つ。
この粘液は時間差で爆発し、その威力は硬い岩ですら爆砕する。

エースは炎を纏うとブラキディオスに向かってそれを繰り出した。

「陽炎!!」

炎はブラキディオスを包むが、マグマの中でも耐久できるその外殻にはピクリとも効かない。
炎を凪ぎ払うと、その巨体からは想像も出来ないほどの軽快なフットワークで
エースの裏手にまわる。

「なっ!」

「くそ!」

ジェイクは双剣で足を切りつける。
ブラキディオスがその標的をジェイクへと変えた。

「ジェイク!っくそ!炎がダメならこれならどうだ!?」

エースはそう言って飛び上がると、蹴りを1発叩き込む。

「うぃいいっ!?かってぇえ!!」

片足を押さえピョンピョンさせるエース。
ブラキディオスはその蹴りに怯んでいた。

「さっすがエース!!」

「すごい!エース隊長・・・の足!!」


「足かよ!!」

そう言いながらジェイクとルピタは攻撃を当てていく。

「援護します!!」

コマチはライトボウガンを取りだし、弾を込めると素早くリロードする。
スコープを覗き込み、ブラキディオスに狙いを定めた。

「麻痺弾撃ちます!」

コマチがブラキディオスに数発打ち込んだのは麻痺弾。
名の通り麻痺作用のある弾だ。

麻痺したブラキディオスにラッシュをかける。
しかしそれをものともしないブラキディオスは
さらに暴走を始める。


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