アーティアはそう言って木の板に貼り付けられた街の図面を指差した。
そこには事細かにドンドルマの街が描かれている。
ドンドルマは周囲を大きな山に囲まれており、この地形がモンス ターの侵入を阻んでいる。
が、南側だけは平地になっているため、多彩な迎撃兵器が置かれた防衛ポイントがあるのだ。 危険なモンスターが接近した場合には、この南側の防衛ポイントを舞台にハンター達による迎撃戦が展開される事ある。
今回はこの南側を重点的に守りを固め、その外の場所も念のため特別に迎撃兵器を設置する流れになった。
「今回はギルドナイトの特殊部隊が召集されたそうだ!今夜にもその部隊が到着する」
アーティアがそういえば周りが騒然とし始めた。
「ギルドナイトだって?!」
「まじかよ。あいつらが出動するって事は今回のこれ、かなり危険度高めなんじゃねーのか?」
「俺ギルドナイトって初めて見るっす!」
なぜそんなに騒ぐのかさっぱりなエースは小声でルピタに耳打ちする。
「なんだよ。ぎるどないとって?なんでこんな騒ぐんだ?」
「ギルドナイトはですね。簡単に言えばギルド本部直属のハンター集団のことです!一般のハンター達が束になってかかっても勝てないような実力者達が集まってるらしいんですよ!」
「らしいって・・・お前もしんねぇのかよ」
「ギルドナイトは普段その身分を隠して生活してますからね!私も見たことないです!その方々は特に失敗が許されないような依頼や、高難度クエスト、さらには政治的な交渉などなど。一般ハンターじゃ到底こなせないような任務を請け負ってます!そして・・・」
ルピタはこそこそと周りを見回し、エースに耳を貸すように言う。
そんなルピタに耳を近づければ、コショコショと耳打ちを始めた。
「先程アーティアさんが言ってた特殊部隊。ここだけの話ですがかなりヤバイらしいっす。精鋭が集まるギルドナイト内の中でも人間兵器とまで呼ばれる実力者の集まりが特殊部隊。今回この特殊部隊が召集されたってことは・・・この事案、ギルドもかなり危険視してるみたいですね」
「ほぉ。よくわかんねぇが、すげぇな」
「まぁエース隊長の世界で例えるなら、名だたる海賊を一ヶ所に集めてその中からさらに強い海賊を集めた海賊団みたいな・・・」
「そうか。とにかく強い最強海賊団か」
「まぁそんなとこです!」
ルピタとエースはフンフンと相づちを打ち合い
互いに納得しあう。
会議が終わりハンター達はそれぞれ今夜に備え準備を始める。
ルピタ達も宿へ戻り、荷物を整えた。
「なぁルピタ!秘薬持ってった方がいいよな?」
「うん!調合分も出来るだけ持ってった方がいいよ。私は生命の粉塵持ってく。砥石忘れないよーに!」
「なぁ。俺はなに持ってけばいいんだ?」
「エース隊長も、出来るだけ回復系の薬を!」
「あ、あの。誰かポーチに空きはありますか?弾を数種類持っていて貰いたいのですが」
「じゃあ俺が持つ」
「あ、あり、ありがとうございます!!」