ドンドルマは
旧大陸のほぼ中心に位置する街だ。先住民の手によって険し い山あいに切り開かれており、 絶える事の無い風は風車の原動力となっていて
ミナガルデやロックラックよりも鍛冶技術が発達しており、旧大陸では最大の規模を誇る。
万が一の事態に備え、モンスター迎撃設備も整った最先端の街と言えるだろう。
「ここがドンドルマかぁー!」
「賑やかな街だな!」
エースとジェイクはキョロキョロとその街並みを見回す。
ルピタ達一同がドンドルマへ着いたのは、ちょうど予告のあった満月の日だった。
今夜。何かが起こるかもしれない。
アーティアはギルドへ報告するために
いったんメンバーと別れを告げたのだ。
「ん?」
エースはそこであることに気づく。
家屋の屋根が緑と赤で統一されているのだ。
そして掲げられる旗もまた緑と赤。
「なんで緑と赤なんだ?」
「これは有名な飛竜、リオレイアとリオレウスを表してます。ほら、エース隊長見たことあるでしょ?パチモンだったけど」
ルピタの話にエースはキャンディナとの戦闘を思い出した。
確かにリオレウスは赤い。
「りおれいあってなんだ?」
「あー。緑色の外殻をもつリオレイアはメスの飛竜で、リオレウスの番いなんです!」
「へぇ」
「この赤と緑の屋根と旗は、自然への敬意を示すものなんですよ」
ルピタはそう言って、ふふっと笑う。
「とりあえず今日の宿を取りにいきましょうか。今夜。何か起こっても起こらなくてもここでまた情報を集めなきゃならないですしね!」
「だなぁ・・・。」
「あいつらの情報がうまく入ればいいけど」
四人は街を行く。
巨大な街は、要り組んだいくつもの細い道から構成されており
一歩間違えば迷子になりそうな勢いだ。
宿についた四人は部屋を取り、早速情報収集をしに街へ繰り出す。
エースとルピタはドンドルマのギルドへ向かった。
ドンドルマのギルドは大衆酒場と呼ばれる場所で
クエスト受け付けカウンターと
酒場が一緒になっている。
いつもはハンター以外の酒飲み客もいて
賑わっているのだが
今日は屈強なハンターが物々しい雰囲気を醸し出していた。
「なんだ?」
一人のハンターがルピタ達に鋭い眼光を向ける。
「あ、いや!あのこちらにいらっしゃるハンターで、アーティアさんという人に用があって」
「・・・アーティアの知り合いか。待ってろ呼んでくる」
ハンターはそう言ってアーティアを呼びに行った。
しばらくすると、慌ただしそうな様子のアーティアが現れる。
「エース君!ルピタ!」
「アーティアさん!」
「んだよ。忙しそうだな」
「今君たちを呼びに行こうと思ってたんだ。ジェイク君とコマチちゃんは?」
「ああ。あいつらは街で例の集団の情報を集めてる
」
「そうか。ならその二人を呼んできてくれないか?話があるんだ」
アーティアの真剣な顔にエースとルピタは顔を見合わせる。
街を探し回り、ジェイクとコマチを見つけた二人は
ギルドへ戻る。
ギルドへ戻るなり、アーティアは険しい顔で話始めた。
「実は、つい先日ロックラックが何者かに襲われたらしい」
「え?」
「まさか!」
「あぁ。そのまさかだ。その物達は銀色のシルバーソルに身を包み、ランスを携え飛竜を従えてきたと聞いた。君たちが追っているあの集団だと思う」
四人はその話に言葉を失う。
「でもよ、俺たちが渓流であいつらにあったときは飛竜なんて・・・!」
「僕の推測だと、女帝が復活したんだろう。ドンドルマを襲う前にロックラックを見せしめに飛竜達に襲わせたんだ。ロックラックは新大陸の中枢都市だからね。そして今夜。本命のドンドルマを襲うつもりなんだ」
「あんたの推測が正しけりゃ、その女帝がいなきゃあ飛竜とやらを操れないんだろ?」
「多分そうだと思う。鍵となるのは女帝。情報によると、ロックラックでその女帝らしき姿を確認することは出来なかったそうだ」
悩む一同。
その中でルピタだけが顔を青くさせていた。
「どうした?」
エースがルピタに視線を移す。
そうすれば彼女は小さな声で呟いたのだ。
「・・・もしかして、女帝って・・・」
その時だった。一人のハンターがアーティアの元へ駆け寄ってくる。
「アーティアさん!ゲストハンターの召集が終了しました」
「わかった。今から会議を行う。君たちも参加してくれ」
アーティアはそういうと去っていった。
もしかして、女帝って・・・
ルピタが呟いた言葉の続きを、エースは聞くことは出来なかった。
周りの慌ただしい雰囲気に流されるがまま
会議が始まってしまう。
集まったのは総勢30名のハンター。
専属のハンター10名に
たまたま街へ留まっていた
ゲストハンター20名だ。
「集まってくれて感謝する。僕の名前はアーティア。病床のギルドマネージャーに代わって今回の作戦の指揮をとることになった!早速だが、これを見てもらいたい。これはドンドルマを上から見た図面だ」