「はぁ。疲れたー。」

「居なかったなシルバー軍団」

「そうですわね。ハチミツでも採取して戻りましょうか」

三人は渓流を歩き回ったが、シルバーソル軍団は見つからなかった。
鬱蒼とした森のなか、巨大な切り株を背もたれに休息を取る三人。
その時だった。
がさがさという葉が擦れる音と、ザッザッと土を踏む音が三人の耳へ届く。
切り株に身を隠したまま、そちらへ視線を移した。

「あ、あれじゃねぇか!?」

「しーっ!ジェイク!声がでかい!」

「確かにシルバーですわね」

そこにはシルバーソルの防具に身を包んだ銀色の集団の姿があった。
人数は五人ほどで、ランスを所持している。
確かに何をするわけでもなく、辺りをキョロキョロと見回し
メンバー同士で何かをこそこそ話している様子だ。

「どうする?話聞いてみる?」

「そうですわね。しかしまだ様子を見た方が・・・」

「おおーい!!何やってんだーあんたらー!!?」

「ジェイクーーー!!!」

「あらあら」

ジェイクのフライングにため息をつきながら、ルピタとチチカナも切り株の影から姿を見せる。
集団は、一斉に三人に視線を向けた。

「うわ。なんか怖・・・」

ルピタはボソリと呟く。
防具で顔が隠れているためか、その集団の表情は読めなかった。
周りに漂う険悪な雰囲気。
それをルピタは感じ取っていたのだ。

「あらあら。余り友好的な雰囲気ではありませんわね」

チチカナもそれを感じ取る。
唯一感じ取っていないのは

「なぁなぁ。あんたら一体なにやってんだ?」

ジェイクだった。


ジェイクはずんずんと集団に近づく。

「ジェイク!」

「お待ちなさいな」

「大丈夫だって!話聞かねーと!」

二人の制止に、ししっと笑うジェイクが集団の真ん前で止まった。

「見たところハンターみてぇだな。最近ここらをうろついてるって聞いたけどよ。なにやってんだ?ギルドも介さずに」

集団はそんなジェイクの質問には答えず
ボソボソと何かを呟く。

「見つけた」

「あれがあのお方が言う女帝」

「傷つけるなよ。」

「わかっている」

「さぞかしあのお方は喜ぶだろう」

ボソボソとそんな事を呟く集団に、ジェイクが徐々にイラつきだす。

「何ボソボソ言ってんだよ。質問に・・・」

ジェイクの言葉が終わらないうちに、集団は一斉に地を蹴った。
ガシャンとランスと盾を取り出すと、素早い動きでチチカナとルピタに向かっていく。

「マジかよ!!」

ジェイクは素早く双剣を抜くと、一人に向かってその刃を降り下ろす。
しかしそれは盾によって阻止された。


「うわっ!」

「来ましたわね」

ルピタとチチカナは武器を構える。
ルピタの大剣はランスの矛先を受け止めた。

キリキリとぶつかるいくつもの金属音。
ルピタはギリッと奥歯を噛む。

「いっいきなりなにすんだよ!!」

「邪魔をするな。我らが必要としているのは女帝ただ一人」

その瞬間、チチカナの笛がルピタの大剣と対峙する集団をぶっ飛ばした。

「意味不明ですわ」

そう言ってニコリ。
しかし、そんなチチカナにも降り下ろされるランス。
それを軽々避ける。

「あらあら。当てる気で来てくださいな・・っ!?」

しかし、チチカナが避けた先で待ち受ける一人の拳が彼女のみぞおちをとらえる。

「チチカナ!!っ退けよ!!」

ルピタはそう言って集団に切りかかる。

しかし大きな盾で防がれてしまう。
その間に気絶したチチカナは集団の一人に担がれた。

「邪魔をするな。と言ったはずだ」

「チチカナをどうするつもりだ!!!」

ルピタは大剣に力を込める。

「お前には関係の無いことだ」

「関係あるね!チチカナをはな・・・」

その時だった。
ルピタの背後からランスの矛先が襲う。
それは防具すらも貫き、ルピタの脇腹を貫通した。

「あっ・・が・・」

瞬時に奪われる体の力。
ルピタはその場にドサリと倒れた。

「ルピタ!!」

ジェイクが駆け寄り、彼女の体を起こす。
目先の集団は、ランスを納め背をむけていた。
ジェイクはそんな集団と、傷ついたルピタを交互に見つめる。

そんな彼の耳に入ったのは

「あのお方ミナガルデでお待ちだ。急げ」

という言葉だった。






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