渓流に流れる川の流れが
さらさらと四人の耳に心地よく響く。

「なんか癒される場所だな」

エースはそう言って背伸びをしながら歩く。

「景色も最高に良いだろ?」

「ああ。お!猪がいる!」

エースの視線の先には猪が数匹、草をモシャモシャ食べていた。

「あれはブルファンゴっていうモンスターです。私よくつきとばされるんですよねぇー。」

ルピタはアッハハハ。と笑っている。
そこでエースはあることを思いついた。

「なぁ腹減らねぇか?」

「え?まぁ減りましたけどー・・・」

「ブルファンゴの肉は硬くてあんま旨くねぇ・・・って・・・行動早っ!!」

ルピタとジェイクが言い終わる前に、ブルファンゴは丸焼きになっていた。

「あらあら」

「エース隊長がいれば肉焼き機いらないね」

「ウフフ。そうですわね。便利ですわ」

四人はブルファンゴの丸焼きで腹ごしらえすると、またキノコ探しを再開する。

「ふぁあ!なんか食べたら眠くなってきちゃったなぁ」

ルピタはそう言ってデカイあくびを一つ。

「ん?なんだあのデケェの」

エースの言葉に、ルピタとチチカナが反応する。
そこには、彼女達が食べたものと同じキノコが
でかでかと生えていた。

「あああああ!!ありましたぁあ!!」

「あれがまさにわたくし達が食べたキノコですわ」

「うぉおお!すげぇ!俺見たことねぇよあんなの!」

「おっし!あれが目的のキノコだな!」

近づこうとするエースとジェイクとエースを止めたのはチチカナ。

「ちょっと御待ちくださいな。」

「なんでだよー!早く取らねぇと・・・あ!!」

そのキノコへ一匹のブルファンゴが近づいた。
フンフンと匂いをかぐと、その大きな一口でバクリとキノコを平らげてしまう。

「ああ!!キノコ食われた!!」

「あの猪野郎!!待ってろ俺が吐かせてくる!」

そう言って意気込むエースをチチカナは笑顔でぐいっと止めた。

ブルファンゴはモグモグ口を動かし、それをゴクンと飲みこむ。
すると、1秒もたたないうちにパタンと倒れたのだった。

「「「し、死んだーーーーーー!!!」」」

「ウフフ。そうですわね」

口をあんぐり開け、目をかっぴろげるルピタ、エース、ジェイク。
そして笑顔のチチカナ。

ブルファンゴの死体は酸をかけたかのように、シュウウと音をたてながら溶け始め
ついには骨だけになった。


「「「と、溶けたぁあああああああ!!!」」」


「ウフフ。骨しか残らないとはまさにこのことですわね」

顔を青くさせる3人に
ニコニコしているチチカナ。

「よかった。あのキノコに触らなくて」

「よかった。吐かせに行かなくて」

「よかった。運良くトリップ出来て」

3人は同時に呟く。

「まぁこれでキノコの危険性が判明しましたわ。あのブルファンゴの冥福を祈りましょう」

ニコニコするチチカナの側で3人は
見知らぬキノコや木の実を食べるのは絶対止めよう。と心に強く誓う。

「さぁここからが問題ですわ。キノコは勿論食べられませんし・・・あのブルファンゴがキノコに近寄っても何も起きませんでした」

「ってことは、キノコに可能性はゼロって事だよね」

ルピタはため息をつく。

「ま、まぁよ。方法は気長に探そうぜ?」

そんなルピタにエースが言い放てば、彼女はムッと口を尖らせた。

「エース隊長は呑気ですね!帰りたくないんですか!?」

「・・・そりゃあ帰りてぇけどよ。どうしようもねぇじゃねぇか」

「・・・ですよね。ごめんなさい」

なんだか沈んだ雰囲気を破るようにジェイクが口を開く。

「ま、まぁまぁ!とりあえず村に戻ろうか!皆長旅で疲れちまったんだよ!温泉に浸かって考え直そう!」

ジェイクの案に四人は村へ戻るべく、歩き出す。

「ごめんなさい」

エースの隣を歩くルピタがうつむき加減で呟いた。

「なんだよ?」

「私、焦ってて・・・リィリィのこともあるし、モビーの皆も心配だし。何よりエース隊長をいるべき世界に帰してあげたくて・・・」

「ルピタ・・・」

「ほんと、すんません。一番不安なのはエース隊長なのに・・・」

エースはニィっと笑うとルピタの顔を覗きこむ。

「らしくねぇじゃねぇか。お前が謝るなんて」

「私だって謝罪の一つや二つ出来ますよ!」

「へぇ?そうかい」

「な、何がおかしいんすか!!」

エースは顔を真っ赤にして怒るルピタを見て、クツクツ笑う。

「いや、なんでもねぇ。色々とありがとな。ルピタ。」

「あ、いえ、こちらこそ」

そう言ったエースに深々とお辞儀をしたルピタ。
そんな彼女にエースはまた笑う。

「ぷっ。おもしれぇ奴だな」

「もう絶対エース隊長には謝らないことにしました」






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