何日かの航海を終えロックラックに着いた一同は、マーベルや船長と別れ
それから東を目指す。

アイルーが運転する、カーグァと呼ばれる鳥を動力とした荷車に揺られ
これまた自然豊かな夜明け前の山道を走った。
ガタガタと揺れるその荷車の振動が
エースの眠気を誘う。


「エース隊長。」

「ん、ぁあ?」

「到着いたしましたわ」

エースが目覚めた頃。
朝日は登り、その明るさにエースは目を細めた。


そこにはまた変わった文化が栄えていた。
赤を基調とした建物。
紅葉が舞い落ち、奥の巨大な建物からは湯気が立ち上る。

石畳の向こうに広がるのは、ユクモ村。

「おお!!イゾウみてぇな格好した奴が沢山いる!」

エースはそう言って目を輝かせた。
和を基調とした村民の服装は、エースにイゾウを思い出させる。

「あはは!イゾウ隊長にぴったりな村かもですね!」

ルピタはそう言って笑った。

「よっし!ここからは俺の出番だ!みんなーー!後に続けー!」

ジェイクはそう言って片手を高く上げると、どんどんと進んで言った。

「あらあら。張り切ってますわね」

そんなジェイクに3人は着いて行く。


「おー!ジェイクじゃないかー!」

「おぅ!久しぶりだな!」

「ジェイクちゃん!久しぶりねぇ!」

「おばちゃん!元気だったか!?」

村民はジェイクを見て懐かしそうに声をかける。
その度に、ジェイクは顔を綻ばせた。

「ジェイクの奴人気者だな」

エースはそう言って笑う。

「ジェイクはハンターになりたての頃、このユクモ村でハンター修業してたんですよ。そこでこの村に脅威をもたらしていたジンオウガって奴を狩って・・・あ、ジンオウガってのは青くて電気ビリビリな奴です」

「青くて電気ビリビリってそれどっかで聞いたな」

エースはルピタの説明にデジャヴだ。

「村長さん!!」

その時、ジェイクが一人の女性に駆け寄った。

紅葉の葉が散る中、その女性は儚そうな視線を
散り行く葉に向けていた。
その容姿は神秘的で、なおかつ美しい。
細く切れ長の目をジェイクに向け、それを綻ばせた。

「あら。ハンターさん。お久しぶりでございますね」

「お久しぶりです!」

「あなたがあの子を退治してくれてから、村はまた活気づきました。その節は本当にありがとうございました」

「礼なんていらないっすよ!俺だってこの村でハンターのいろはを教わったんだ。礼を言うのはこっちの方です。」

「ウフフ。あら?まぁまぁ。ルピタさんにチチカナさん。ご無沙汰ですわね。・・・そちらの方は」

村長はそう言ってエースに視線を移す。
エースはその神秘的な雰囲気に飲まれ、硬直していた。

「久しぶり!村長さん。あ、こっちの人は・・・ほら!エース隊長!なに固まってんすか!挨拶!」

ルピタに小声で言われ、エースはハッとする。

「あ、えっと!俺はポートガス・D ・エースといいます!!」

エースは綺麗にお辞儀した。

「これはこれは。ご丁寧に。私はこの村で村長をさせて頂いております。以後お見知りおきください」

村長は袖で口元を隠すと、おしとやかに笑う。

「・・・は、はい!」

昔イゾウが言っていた
ヤマトナデシコ
っていうのは
こういう女性の事をいうのだろうか?
エースはそんな事を思っていた。


「そういえば、村長さん。コマチは?」

ジェイクはそう言ってキョロキョロと辺りを見回す。

「ああ。コマチにはおつかいを頼みまして・・・多分しばらくすれば帰ってきます」

「わかりました!村長さん俺たち渓流に用事があって来たんだけど・・・」

「そうですか。なら、私からギルドマネージャーにお伝えしておきます。」

「ありがとうございます!戻ったらギルドマネージャーにも挨拶に行くと伝えて下さい!」

ジェイクは村長に一礼すると、村の奥に掛けられた橋を指差した。

「あそこから渓流に行けるんだ。行こう!」

「おっけー!」

「キノコが見つかるといいですわね」

「そうだねぇ。ってかエース隊長いつまで固まってんすか!?行きますよ!!」

「あ、お、おぅ!わりぃな」

ルピタはそう言って未だ村長を見て固まるエースの腕を引く。
こうして四人は渓流へと赴いた。


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