夜になり、出航の時が近づく。

「ちゃんと準備はしたか?安全第一に、船長さん達の言うことをちゃんと聞くんだぞ?後は・・・」

「だぁあ!!大丈夫だってじぃちゃん!!」

なにかと心配をする村長にジェイクはため息をついた。

「エースさん。ルピタ、チチカナ。気をつけて行ってくるんだぞ?」

「わかってるよ村長さん」

「目的を終えたらすぐに帰還いたしますわ」

「こいつらの事は任せてくれよ」

四人は船へと乗船した。

「出航ゼヨーーー!!」

船長の声と共に、交易船は村を離れ始める。
村民達がが手を振る中、ついに交易船は大海原へと繰り出した。


「やっぱ海はいいな。」

エースは甲板の手すりにもたれ掛かり、潮風を全身で感じる。
そこへルピタがやってきた。

「エース隊長!どうですか?こっちの海は?」

「おぅ!海はいいもんだ。どの世界でもな」

「ふふっ!やっぱエース隊長には海が似合うなぁ」

「そうか?」

「はい!とっても!」

二人は揺らめく水面を見つめる。
月光が反射するそれはゆらゆらと
まるで黄金をちりばめたようだった。

「おーい!二人とも!マーベルが飯だってよー!!こっちこいよ!」

ジェイクに呼ばれ、船内の食堂に赴けば
交易船のクルー達がワイワイガヤガヤと食事を楽しんでいた。

「おー。うまそうだな!」

エースは席につくと、手前にあったこんがり肉に手を伸ばす。

「どうだエース!うめぇか!?」

「おぅ!この焼き加減と、味付けがたまんねぇな」

エースの隣のジェイクはガツガツと頬張り、膨らんだ頬を綻ばせる。

「おぅ!クソガキ共!残したらぶっ殺すからな!」

そこへマーベルが酒瓶片手にやってくる。

「マーベル!!俺はクソガキじゃねぇ!!」

「食いもんを口に入れたまま喋んじゃないよ!」

エースはそんなマーベルに視線を移す。

「怪力女の癖にこんな器用なこと出来んのな」

嫌味を込めてニヤリと笑えば、マーベルは豪快に笑った。

「だてに60年も女やってないよ!!」

マーベルの返答に、エースはくわえていた肉をポロリと落とす。
マーベルの見た目は30代。
エースは目の前の彼女を凝視した。

「あっはっは!エース隊長おどろいてるー!」

「マーベルさんは、今年で65歳。ハンター歴は50年近くのベテラン中のベテランですのよ?」

エースは固まったまま
ババァだな。と禁句を発してしまう。
そこでエースの頭に強烈なゲンコツが落ちたのだ。


「いでぇええええ!!!」

「次言ったら頭カチ割るからな」

マーベルはぐびぐび酒を煽るとそう言い放つ。
エースは
じじぃのゲンコツ並みにいてぇ
と頭を擦ったのだった。

そこへ警笛と警鐘が鳴り響く。

「ん?なんだ?」

「どうやら海賊と遭遇しちまったみてぇだな。」

「全員位置につけゼヨーー!!」

クルー達は即座に食事を止め、バタバタと慌ただしく迎撃の準備をし始める。

「どれどれ。いっちょ迎えますか」

そう言って食堂を出ようとするマーベルを止めたのはエース。

「いいよ。皆飯の続きしてくれ。俺一人で充分だからよ」

その言葉に、クルーをはじめマーベルは目を点にした。

「おいおい。いくらなんでも丸腰じゃあ危険だぜ?」

マーベルはそう言ってエースに苦笑いを向ける。

「そ、そうだぞあんちゃん!相手は武器を持ってんだ!」

「危険だ!止めときな!」

止めるクルー達にニヤリと笑って見せると、テンガロンハットを押さえて外へ出る。
ルピタとチチカナは後へ続き、交易船に近づく海賊船を見て
ああ。
と頷いた。

「みんなー!ご飯の続きしててへーきでーす!」

「エース隊長の実力をご覧になりたい方はどうぞお食事片手にご覧になってくださいな」

「おいおい。ショーじゃねぇんだからよ」

エースは苦笑いすると、間近までやってきた海賊船を見つめる。

「おい。ルピタ!危険な事させんじゃねぇぞ」

マーベルがそう言えばルピタはにぃっと笑う。

「大丈夫だよマーベルさん。あれくらいの船ならエース隊長一人で沈めちゃうからさ」


海賊船は船体を交易船にぶつけるようにして接触してきた。
揺れと共にざわめきが沸き起こる。

「俺たちゃ泣く子も黙る海賊だ!!金目のもんは全て出せ!!でなきゃてめぇらの命はねぇ!!」

明らか船長みたいな格好をした男が叫ぶ。
その隣に居る男に、エースは見覚えがあった。

「あれ?お前確か・・・」

「ん・・・?っ!!?ぎゃあああ!!」

すると男はすぐに顔面蒼白になる。





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