「ジェイク。お前のその双剣、さっき電気出てなかったか?」

「ああ!これはジンオウガの素材で出来てる双剣なんだ。あ、ジンオウガっていうのは、青くて電気ビリビリな奴だ!」

ジェイクの説明はよくからないが、エースはふんふんと頷く。

「そういやぁ、ルピタの大剣も炎を纏ってるよな」

「おぅ!武器は使ったモンスターの素材によって属性が違うんだ!俺のは雷属性。あいつの大剣は火属性!シシっ!エースとおんなじだな」

エースは必死に脳ミソを回転させる。
そしてわかったことは
この世界はよくわからねぇけど、おもしろい。
ということだった。

お喋りをしながら洞窟を出た二人は、目の前の光景にあんぐりと口をあけた。
先ほど一通り回った時にはいなかったはずの存在。

真っ青な鱗を纏った巨大な何かが丸まって寝ている。

「おい。なんかいるぞ?」

エースがそう言えばジェイクに振れば、彼は険しい顔をして双剣を抜いた。

「やるのか?」

「ああ。あいつは海竜ラギアクルス。ジンオウガみてぇに電気ビリビリな奴なんだ!気をつけろよエース!」

「ばーか。俺を誰だと思ってんだよ」

エースはそう言ってニヤリと笑うと、指を突きだし叫ぶ。

「火銃!!!」



指先から放たれた火の玉は、ラギアクルスを直撃するが
その巨体にとっては、石ころが当たったような感覚なのだろう。
ピクリと動いてその丸まった体を起こした。

エースは更に驚くことになる。
丸まっていた時ですら巨大なのに、起き上がれば更に巨大なのだ。
そして怒っているのだろうか?
背中にある甲殻は青々と美しい光を放ち、口からはビリビリと電気が溢れ出す。

そしてその咆哮に、二人は耳を塞いだのだ。

「っくぅう!!うるせぇな!!」

「ちゃんと塞がねぇと鼓膜が破れるからな!」

咆哮が終わると同時に、ラギアクルスは二人に向かって突進してきた。

「うぉ!!」

「っ!」

二人は素早く回避する。
ラギアクルスの動きはその巨大の割に素早く、すぐに噛みつきを仕掛けてきた。

「ちっ!デケェくせにすばしっこい化けもんだな!!」

エースはそう言ってぐっと構える。

「火拳!!!!」

エースが放った火拳は、その巨体にぶち当たった。
ラギアクルスは怯んだもののすぐにその眼光をエースに向ける。
そして体をぐぐっと縮める動作をしたのだ。

それを見たジェイクが叫ぶ。

「エース!!!ラギアクルスから離れろ!!!」

「あァ!?」

次の瞬間ラギアクルスの周りにおちるいくつもの雷。
ラギアクルスの身体は電気を纏い、そこから雷をいくつも降らせているのだ。


「っ!!」

エースはなんとか回避して顔をあげる。
地面はプスプスと煙をあげ、雷が落ちた部分は焦げて黒くなっていた。

「おお!当たったらヤベェことになってたかもな」


エースはジェイクが言う電気ビリビリな奴の意味がわかった気がした。
しかしエースはそれに臆することはない。
ニヤリと笑ってすぐに戦闘態勢を立て直す。

「あーーーー!!!ダメダメダメ!!!」

そこへ飛んで来たのはルピタとチチカナだった。

「なんだよ!」

そんな二人の様子に、エースが叫ぶ。

「危険だ!!すぐ離れろ!!」

ジェイクも双剣を構えたまま叫ぶ。


「ダメダメ!まったくラギアンもダメだって!!オバカチン!!」

「そうですわよ。落ち着きなさいな」

ルピタとチチカナがそう言えば、先ほどまで殺気だっていたラギアクルスが大人しくなった。

「「ら、らぎあん?」」

エースとジェイクの声が揃う。

するとルピタは気まずそうな顔をして、エースとジェイクに苦笑いを向けたのだ。

「あはは。バレちゃ仕方ないよね・・・。実はラギアンは友達なんです」

「は?」

「なに言ってんだよ。バカなのか?」

ルピタは怪訝そうに眉を寄せるジェイクとエースに、説明をした。
この辺で目撃されていたラギアクルス。
その討伐を依頼されたチチカナとルピタは、このラギアクルスと戦う内に仲良くなってしまったという。
なんでもこのラギアクルスは、他の個体と違い知能が発達した個体で
人の言葉を理解するという。
試しにチチカナが
寝なさい。
と言えば、くるくる丸まってぐうぐう寝始めたのだ。

「お願い!!誰にも言わないで!!」

ルピタはそう言って頭を下げる。

「分かったよ。それにしても驚きだな!」

ジェイクは眠るラギアクルスを見つめる。

「こいつ人の言葉を理解するんだろ?」

エースはいたずらっ子のような笑みを浮かべ、眠るラギアクルスに近づくと

「ばーか!!デカブツーー!!」

と叫んだ。

その瞬間ラギアクルスは眠りから覚め、エースに向かって電流ブレスを吐いたのだ。

「ぎゃあああ!!!」

エースはビリビリしながらばたりと倒れる。



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