「久し振りゼヨ!村長!」
「これは、これは。船長さん!長旅ご苦労様です」
船から降り立ったのは、袴姿の男。
耳は尖っているが、その他は人間と変わらぬ姿だ。
一言で例えるならば、坂本龍馬のような風貌で
背中にデカイ太刀を携えている。
「うぇー。船酔いしちゃいましたぁ。」
次に降りてきたのは、可愛らしい格好をした少女。
「アイシャ。お疲れさん。どうじゃった?ギルド本部の会議は?」
「いやぁ。実は半分寝ちゃっててー」
ヘラヘラ笑うアイシャと呼ばれた少女は、どうやらギルド関係者のようだ。
「船長さぁん!!アイシャー!!」
ルピタ達は、その二人に駆け寄っていく。
「ルピタ!チチカナ!戻っていたのかゼヨ!心配していたゼヨ!」
「ハンターさん!!よかった!!生きてたんですね!!」
アイシャと船長は顔をキラキラさせて二人に近づいた。
「うん!アイシャも船長さんも元気そうだね!」
「ご心配おかけして申し訳ありませんわ」
そんな様子をエースは目を細めて見つめていた。
その隣で、ジェイクは呟く。
「ルピタとチチカナは、この村の英雄だ。なんせ村をナバルデウスから救ったんだから」
「ナバルデウス?」
「ああ。エースは知らねぇよな。でっけぇ古龍で、海に住んでんだ。ソイツが地震を起こして、村が大変なことになってよ。ギルド本部からも、撤退命令がでて・・・。それは村がギルドから見放された瞬間だった」
エースの髪が、潮風に揺れる。
ジェイクはさらに続けた。
「でもよ。あの二人がナバルデウスをぶっとばしてくれたんだよ!本当はギルドの命令に従わなきゃならなかったんだけどな。それでもあの二人は自分の立場なんて二の次で、この村の危機を救った。」
ジェイクはアイシャを指差す。
エースはつられるように、アイシャに視線を移した。
「あいつ。アイシャっていうんだけどよ。ギルドガールっていうこの村のギルドの管理人なんだ。まぁ粋なヤツで、その時ギルドに嘘報告してよ!」
そう言ってジェイクは笑う。
エースもそれにつられて笑った。
「元々破天荒なんだな。あいつらは」
「あいつら、エースの船でも何かやらかしたのか?」
「あぁ。まぁな。俺の世界にも、海王類っていうでけぇ魚みてぇのがいて・・・。いっつも船から飛び降りてその魚を狩ったり、時にはでけぇイカ倒しちまったり、逃げろっつってんのに逃げねぇし」
エースはクスクスと笑いながら続けた。
「それが、あいつらのいいとこでもあるんだけどよ」
風に飛ばされそうになったテンガロンハットを押さえながら、エースはそういい放つ。
「ニシシっ!まぁな!」
ジェイクはニカッと笑ってルピタ達に視線を移した。
「エース!俺達も行こう!」
「おぅ」
ジェイクとエースはルピタ達の元へ向かう。