しばらくすれば、ルピタとチチカナがやって来る。
ジェイクの部屋に入れば、二人は座り深呼吸した。

「なんだよー。二人とも深呼吸して!」

ジェイクはそんな二人を見てケラケラ笑っていた。

「ジェイク。あんただけにこれは話すから、誰にも言わないでね?」

「村長さんにも言ってはいけませんよ」

ルピタとチチカナが真剣にそう言えば、ジェイクはゴクリと生唾を飲み込んだ。

「え。な、なんなんだよ」

「エース隊長はね、この世界の人間じゃないの」

「は?」

ジェイクは目が点だ。

「い、言ってる意味がわかんねぇんだけど」

「そうですわよね。にわかには信じられない話ですわよね。でもそういうことです」

「いやいやいや。無理矢理納得させようとすんなよ!」

「じゃあ、今から私たちが言うことを、何にも言わないで聞いて」

ジェイクはコクコク頷いた。

ルピタとチチカナは、今までに何があったかすべて話した。
自分達がどういう経緯で、違う世界にいってしまったか
そこから、白ひげ海賊団にお世話になったこと。
エースはその海賊の隊長ということ 。
そしてエースの体の秘密。
そしてこうなってしまうまでの経緯。

「・・・信じらんねぇ」

ジェイクはあんぐりと口を開くだけだ。

「だからね。エース隊長はいつか帰らなきゃいけない。それにモビーにはリィリィが残ってるの。だから、もしかしたら私たちももう一回あっちの世界に行かなきゃかもしれない」

「その時は突然やって来るかもしれません。まぁその時は、村長さんにうまく言っといてくださいね」

「・・・わかった。信じるよ。ルピタ達は、俺に嘘ついた事ねぇもんな」

ジェイクは俯き加減で呟いた。

「とまぁ、ここからが問題だよー」

ルピタはううーんと唸る。

「こちらに来たときと同じような状況にしてみましょうか。まずエース隊長を海に投げてみましょう」

「おいおいおい。笑顔で何言ってんだ」

「モビーやリィリィの事も心配だし。でも・・・やっぱこのままなのかな。あ、」

ルピタはあることを思いついた。

「ん?どうした?」

エースがルピタに視線を移す。

「キノコ・・・」

「キノコぉ?」

「私たちキノコ食べたんですよ!んで、気づいたらエース隊長の世界に行っちゃってたんです」

「そうでしたわね、そのキノコを探しましょうか」

「その前にじぃちゃんに聞いてみよう!昔はハンターだったから何か知ってるかもしれねぇ」

「そのキノコが関係あるなら、沢山採取しといて向こうに持ってけば、好きなときに帰ってこれるしねー」

「ウフフ。上手くいけばよいですが」

「そうとなったら、明日からキノコ探しの旅だね!」

「俺も手伝う!・・・エースと別れなきゃなんねぇのは辛いけど、エースにだって向こうに仲間や弟がいるんだもんな」

ジェイクは眉を寄せて笑った。

エースはそれを見つめ、ちょっと複雑な気持ちになったのだった。

「俺も頑張って帰れる方法探すからよ!元気出せ!エース!」

「おぅ。ありがとな。」

ルピタとチチカナが帰った後。
エースはジェイクに自分の世界の事を話す。
ジェイクは本でしか読んだことのない、壮大な冒険話に目を輝かせていた。

二人は空が明るくなるまで、互いを語った。



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