数日後。
モビーディック号はモガの村へ着いた。
村長は最初こそ驚いたものの
白ひげのその気さくな性格により
すぐにモビーの停泊を許可した。

チチカナも徐々に回復し、日常が戻りつつあった。

そんなある日の出来事である。


「はーい!毎度恒例のこやし玉合戦しまーす!」

「にゃー!優勝者にはこの黄金のアイルー像をプレゼントにゃー!」

モガの村に響く、呑気なルピタの掛け声。

「あれ?おかしいなー。参加者が集まらない」

「にゃ!じゃあ優勝者にはチチカナと1日デート券もつけるにゃー!!」

「うぉおおお!!俺やる!」

「俺もやる!!」

「俺も!!」

デート券につられたサッチ率いるチチカナファンクラブの面々が名乗りをあげた。

「んんー。まだ参加者がほしいなぁ」

ルピタはそう言って自分の家へ戻っていく。


「マルコ隊長ーー!チチカナーー!」

そこにはチチカナがマルコに何かを教える姿があった。

「こやし玉合戦しまーす」

「勝手にやれい。俺は今忙しいんだよい」

ひょいとルピタが覗けば、マルコは熱心にこの世界の言葉を勉強していたのだ。

「ウフフ。マルコ隊長がこの世界の言葉を学びたいというので」

「ここにいる以上、学んでおけば役にたつだろい?」

「うわぁ。真面目だなぁ!というわけで、こやし玉合戦しませんか?」

「しねぇよい。他当たれ」

「ちぇっ!仕方ないエース隊長でも誘おー!」

ルピタはそう言いながら出ていった。

「ルピタは相変わらずだよい」

「うふふ。あれが彼女の良いところですわ」

ニコニコと笑うチチカナの左手に、マルコがそっと触れる。

「左腕。なんともねぇのかよい」

「ええ。おかげさまで」

チチカナがそう言って笑えば、マルコは弾かれたように触れた手を離す。

「ならいいよい・・・。さっ!続きだ!この文字はなんて読むんだい?」

「これはですね・・・」

チチカナはクスリと笑いながら、視線を落とした。



その頃エースは
ジェイクとコマチと共に
釣りをしていた。

「うぉお!!ハレツアロワナだぁ!」

「こ、こっちは、シンドイワシです」

「俺、またカクサンなんだけど」

「シシシシッ!エースはカクサンデメキンと相性がいいんだな!」

「いや。全然嬉しくねーよ」

釣りを楽しむそこへルピタがやってくる。

「みんなー!こやし玉合戦しよー!」

するとジェイクが口を尖らせる。

「ええー!こやし玉合戦は嫌だ!せめてモドリ玉合戦にしてくれよぅ!」

「モドリ玉合戦は明日!今日はこやし玉!」

するとエースが口を開く。

「なぁなぁ。ずーっと気になってたんだけどよ。こやし玉ってなんなんだ?」

その質問にルピタはにんまりと笑った。

「名前の通りです!その臭さでモンスターを撃退!結構役に立つ優れものなんですよー!ちなみに主成分はモンスターのフン!!!!」

エースは、
一気にゲンナリした。

「つまり、ウ(自重)だな!!」

「ストレートに言うなよジェイク。」

その時だった。
コマチがあるものに気づく。

「あ、あれはなんでしょうか?」

「ん?」

「あ?」

「え?」

コマチの言葉に、三人がそちらに視線を移す。
そこには海上に浮かぶ光の帯。

「・・・新手の海藻?」

「あんなでけぇ海藻あったらワカメご飯何杯できるかな?」

呑気に呟くジェイクとルピタ。

「いや。どう見ても海藻じゃねーだろ」

そんな二人に、エースは冷静に突っ込んだ。

そこへリィリィが走ってやってくる。

「ルピターー!早くこやし玉合戦始めるにゃー!!・・・にゃああああ!!??」

リィリィは海上に漂うその帯を見て顎を外す。
そして一目散に去っていったのだ。

「なんだ?リィリィのやつ」

「さぁ?」

エースとルピタは顔を見合せ首を捻る。
しばらくすれば、サッチやマルコ
白ひげ達をつれてリィリィが戻ってくる。

「にゃーー!!オヤジさん!あの帯にゃーー!!」

「ありゃあ・・・」

その帯を見つめ白ひげが目を細める。

「うぉ!?あの光って」

「あぁ。間違いなさそうだよい」

サッチとマルコもその帯を見つめ呟く。
エースとルピタは顔を見合せ
リィリィに視線を移した。

「なぁリィリィあれなんなんだよ」

「あれは・・・ボクたちがこっちの世界に来た時に飲み込まれた光の帯にゃ!グランドラインの海にも同じ帯が現れて、それをくぐったらこちらに来てたにゃ!」

「ってこたぁ・・・」

エースはその帯に視線を移す。
あの帯をくぐれば
自分達の世界に帰れるかもしれないのだ。
そして次に、それを呆然と見つめるルピタに視線を落とした。

「・・・ルピタ」

「・・・がないと。」

そんな彼女が俯いたまま、何かを呟いた。


「え?」

「急がないと!!!」


聞き返せば、勢いよく顔をあげ叫ぶ。
その声にエースはビクリと肩を震わせた。

「エース隊長!急がないと!!消えちゃったら次はいつ現れるかわからないんですよ!!」





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