パンプ岬にある古城。
禍々しい雰囲気のその城には
一人の魔女が住むという。

「でしでしでし!やっぱりパンプキンパイの魂仕立ては美味しいでし!」

独特の笑い声をあげて、魔女はパンプキンパイの中に人の魂を沢山つめこんだ
特性のパイを大きな口で頬張った。
その魔女は、見た目10歳ほどの子供である。

「ん?」

魔女は自室にある大きな鏡を凝視した。
そこには人間が5人と、二足歩行のネコが一匹。

「でしでしでし!食料がわざわざやって来たでし!遊んでから、食ってやるでし!!」

魔女はニヤリと笑って、自前のホウキを手に取った。




「なんだい。こりゃあ」

パンプ岬についた一同は辺りを見回す。
その独特の雰囲気に、思わず歩みを止めてしまう。
空はピンクに染まり、雲の代わりに浮かぶのは綺麗なビー玉。
その古い城へ続く道の周りには、まるで子供部屋のように
ぬいぐるみや、綺麗な顔をした人形。
おもちゃが散乱している。

「まるで子供部屋ニャ!」

リィリィは散乱したぬいぐるみを抱き上げつぶやいた。

「見てください!この花!飴ちゃんで、できてますー!!」

ルピタはそう言って花を摘むと口の中へ持っていこうとする。
そこへエースの強烈なげんこつが。

「いたい!!いたい!!」

「バカ野郎!まだこりねぇのか!?拾い食いしてんじゃねぇ!!」

「すんませーん。」

ルピタは口を尖らせて、その飴で出来た花を元の場所へ戻す。

「でしでしでーーし!!」

そこへ奇妙な笑い声。
それは空から降ってくる。
ホウキに乗った少女は、ふわりと一同の前に着地した。
大きな黒いトンガリ帽子を被り
黒いローブを着た
その全身黒ずくめの少女は、にぃっと笑う。


「でしでしでし!ようこそ、あたいの庭へ」

一同はそれぞれ顔を見合わせた。

「お前が、キャンディナかよい?」

「いかにも。あたいが偉大なる魔女、キャンディナでし!」

「まだガキじゃねぇか」

サッチが呟けば、キャンディナはギロリとサッチを睨んだ。

「人間風情が。黙るでし!!」

キャンディナはそう言ってパチンと指をならすと、サッチの体がふわりと宙に浮く。

「おわわわわっ!!!」

「にゃあああ!!サッチ隊長が浮いたニャ!すごいニャーー!!」

「すごくねぇよ!!!どうにかしろぉお!!!」

キャンディナがまた指をならせば、サッチはボトリと地面へ落ちる。

「いてぇー!いてぇよーう!」

強めに打ったケツを押さえ、サッチが言う。
そんなサッチにリィリィが近寄った。。

「大丈夫ニャ!傷は浅いニャ!サッチ隊長!」

そんなサッチ達を尻目に、キャンディナは笑う。

「でしでしでし!さて、あたいに何の用でし!?」

「単刀直入に言ってやる。島の奴等を解放しろ」

そう言い放つエースに、キャンディナはプッと吹き出した。

「でしでしでーーし!!大爆笑でし!!あの残った地縛霊のガキんちょに、聞いたでしね?この島の事を!!」

「ああ。そうだよい。」

「大事な人形を手放すバカがどこにいるでしか?」

「じゃあ交渉決裂だな。」

エースはそう言って、ぼうっと炎を纏う。

「でし!?面白い人間でし!」

キャンディナがパチンと指をならすと、大きなペロペロキャンディが出てくる。
それをペロリと舐めると、ニヤリと笑った。

「たかだか百年程しか生きられない人間が、あたいに説教するとはいい度胸でし!いいでしよ。遊んでやるでし!」

キャンディナはそう言ってホウキに跨がり、ふわりと舞った。

「空中戦かい。なめんなよい?」

そう言ってマルコがバサリと青い炎を纏い、不死鳥となる。
地を蹴ったマルコは飛び上がった。



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