「な・・っ」
「クラーケン。たっぷり遊んでやれよ?」
うねうねと巨大な触手をうねらせるその化け物の名は、クラーケン。
伝説の怪物とまでうたわれ、その存在は架空のものとされていた。
エースは、開いた口と目を閉じることが出来ない。
何故ならばその化け物が自分の目の前にいるからだ。
「くくっ。驚いたか?俺のペットだ」
「ペットとかいう次元じゃねぇだろ。こりゃあ」
エースは至って常識的な意見を述べた。
クラーケンが触手をエースに向かい振り下ろす。
「おっと!」
エースはそれを素早く回避した。
「おいおい。クラーケン!船は壊すなよ?」
バルボッサはくつくつ笑いながらそう言った。
「くそデケェ野郎め。っこれでもくらいやがれ!!!」
エースはそう言って両腕から炎の槍を繰り出す。
「神火っ・・不知火!!!」
それは触手に突き刺さる、が
それはクラーケンを一瞬怯ませるだけだった。
クラーケンは雄叫びをあげて、エースに触手を叩きつける。
「へっ!俺に打撃は・・・っ!!?」
炎ですり抜けられると思われたエース体は、触手の打撃により吹っ飛ばされた。
「悪魔の実の能力者は、海に弱い。クラーケンの属性は海。この意味がわかるよなぁ?」
バルボッサは楽しそうにそれを眺める。
エースは何とか空中で体勢を立て直した。
「くそっ!厄介な化け物だな!!」
「俺の可愛い"番い"のクラーケンを、化け物扱いしないでくれよ」
エースはバルボッサの言葉にハッとする。
「番い?どういう事だ?」
「俺のペットは一匹だけじゃねぇ。こいつには嫁さんがいるのさ。まぁその嫁さんは、今ごろあんたのお仲間と遊んでるだろうよ」
「なっ!!」
エースは後方にあるであろうモビーを振り返る。
そこには、クラーケンに襲われるモビーの姿があった。
エースは目を見開く。
そこにまたもやクラーケンの強烈な一撃が襲ってきた。
「っく!!!」
「よそ見してんじゃねぇよ。真剣に遊べ。じゃねぇと」
バルボッサはニィっと口角をあげる。
「死んじまうぜ?火拳のエース。」
「っくそ!!!」