※お下劣表現あり
「かんぱぁい!!」
「ウフフ。ルピタ。少し飲み過ぎではなくて?」
「えぇー?そうかなぁ。そうですかぁ?エースたいちょぉう!」
「頼むから絡むな」
夜の街。
酒屋でサッチ、マルコ、チチカナと合流した
ルピタとエース。
飲んで騒いで、たらふく食って
ルピタは大満足だ。
「サッチたいちょーう飲んでるかなぁ?!」
「うん!飲んでる飲んでるー!チチカナちゅわん!チューしょっ!チュー!」
「ウフフ。嫌ですわ」
サッチとルピタは既に出来上がっており、肩を組んで騒いでいる。
「おい。マルコ。コイツらどうにかしてくれよ」
「無理だよい」
酒に半端なく強いマルコとエースは、ため息をついた。
「ウフフ。黙らせましょうか?」
そして更に酒に強いチチカナが笛を握りしめ笑っている。
「頼むから、流血沙汰はやめてくれよい」
「あら。わかりましたわ」
チチカナは笑顔で笛を戻した。
その時だった。
「あのっ!」
そこに現れたのは、小柄な女だった。
女らしいワンピースに、ふわふわしたロングヘアー
。
可愛らしい顔を真っ赤にして、俯き加減でこちらをチラチラ見ている。
「誰だよい?」
「あっ」
女はマルコの気迫に押され、一歩後ずさった。
その時足がもつれ、転びそうになる。
「きゃっ!!」
「おっと!あぶねぇ」
それを支えたのは、エースだった。
女の顔がみるみるうちに赤くなる。
「あっすすすみません!」
「おぅ。どうってことねぇよ。おいマルコ!あんまり怖ぇ顔すんなよ!ビビってんじゃねぇか」
「すまなかったねい」
「あっ私っ、この街に住んでるリタって言います!あの・・・その。」
女はモジモジと下を向き何かを言おうとしていた。
そして
「あの!!私っっ!ずっとエース隊長さんのファンなんです!!」
やっと出てきた言葉はそれだった。
「あ、おぅ。ありがとな」
いきなりのことで、エースも呆気にとられている。
「よよよよかったら、その、一緒に飲みませんか!?」
エースはそんなリタを見て、口角を上げた。
マルコはそれを見てため息を吐く。
「いいぜ?ここじゃやかましい連中が二人ほどいるからな・・・カウンターに行くか?」
エースはそう言うと、リタの肩に手を回す。
リタは口をパクパクさせるだけだった。
「二人きりは嫌か?」
甘い言葉をリタの耳元で囁けば、彼女はブンブンと首を横に振り
嫌じゃありません。
と消え入りそうな声で呟く。
「きぃいいいいっ!!!なんでっ!なんでいっつもエースばっかりっ!!!俺だって格好いいはずなのにぃいいい!!!」
サッチが机に突っ伏して泣いている。
「泣かないでください。サッチ隊長」
「チチカナちゅわん。じゃあチューしてくれたら泣き止むぅ」
「ウフフ。嫌ですわ。」
「笑顔で拒否らないでぇえええん!!!」
そんなサッチの横でルピタは不機嫌そうにじぃっと
エースとリタを見つめている。
その視線に気づいたのか、エースはピクリと眉を寄せた。
「なんだよ」
「・・・・・このうっかりスケベェ」
ルピタが口を尖らせてそう言えば、隣のサッチが笑いだした。
「ワッハハハハハ!!ルピタ!いいぞ!もっといってやれー!スケベー!エロ帽子ー!」
「エロたいちょー!!エロエロにんげーん!!」
そんな二人の頭に落ちたのは、エースの強烈なげんこつだった。
「いだだだだだだだ!!!」
「いてぇーっ!いてぇようー!!!!」
床を転げ回る二人を尻目に、エースはリタを連れてカウンターへ。
「大丈夫かよい?」
大きなたんこぶをつけた二人を見ながらマルコは酒を一口含んだ。
「マルコ隊長。今ので酔いが覚めました」
「そうかい。そりゃあよかったよい」
「マルコ隊長。今ので俺の格好いいリーゼントが崩れました」
「それは、知らねぇよい」
ルピタはチラリとエースに視線を移す。
そこには自分が見たこと無いような笑顔でリタを見つめるエースがいた。
「エースの悪い癖だよい」
マルコの声でルピタは我に帰る。
「なにがっすか?」
「見りゃわかるだろい。アイツはとにかく女癖が悪いんだよい。今まで何人の女を泣かせたことか・・・」
マルコはそう言ってチラリと目でエースを指した。
「あらあら。悪いひとですわね。ウフフ」
「エースのあの顔は、本気で落としにかかってる顔だい。今夜はアイツの部屋に近づかねぇ方がいいよい」
マルコはそう言ってグラスに残っていた酒を飲み干した。
「?・・・なんでっすか?」
「・・・分からねぇお子ちゃまは、知らなくていいよい」
「?」
?マークを浮かべるルピタにチチカナは笑って耳打ちした。
「つまりエース隊長は今夜。あの方と共に熱い時間を過ごすということですよ」
「あつい、じか・・・ブゥウウウ!!!!」
ルピタは酒を飲みながら、その意味を考えた。
そしてそれを理解した瞬間
酒を思いきり吹き出した。
それは目の前に座るマルコにぶっかかる。
「・・・汚ぇよい」
「すんません。何か出ちゃいました」
「とりあえず、もう船に戻るよい。」
マルコはそう言って席を立つと、エースに
先に帰る旨を伝えていた。
帰り際マルコはエースに振り向き
「連れ込んでも良いけどな、静かにやれよい」
と注意を促す。
「わかってるよ。」
エースはニヤリと笑いながらヒラヒラと手を振っていた。