モビーディック号は航路を変更し、ある島へと向かう。

「なぁ。」

海の風を受け、これから狩りに出かけるというワクワクを押さえられないルピタに
エースが声をかけた。

「はい。なんでしょ?ひけんのなんたらさん」

「エースだよ。忘れんな」

「あー。すんません。」

ルピタはヘラリと笑う。

「お前が背負ってるこれ・・・」

「これっすか?」

エースは気になっていた。
ルピタやチチカナが背負う大きな武器が。

「ああ。見たことねぇ武器だからよ。」

ルピタはそれを背中から抜くと、構えてみせる。

「かっこいいでしょー?これは父さんの形見なんすよ!!」

「ちょっと持たせて貰ってもいいか?」

「はい。どーぞ」

エースはそれを受け取る。
女が軽々背負うものだから、そんな重くないだろうとタカをくくっていたエースの腕がガクンと下がった。

「っ重!!!」

「重いですよ。見た感じでわかりません?」

ルピタはケラケラ笑いながら、エースが持つ自分の大剣を指差した。

「さ、サンキューな」

エースはそれを彼女に返す。
ルピタは片手でひょいと背中へ戻した。

「これは、モンスターの素材で出来てるんですよ!」

「もしかして、この防具もか?」

「はいっ!頑丈なんです。モンスターの鋭い爪や、重い一撃からも守ってくれるのさ!」

ルピタはふふんと、自慢気に笑った。

「ほぉー」

エースはマジマジとその防具を見つめる。
フッとクルー達に囲まれるチチカナに視線を移した。
ルピタは赤黒い鱗で出来た鎧のような防具を身につけ、
チチカナはカラフルな鳥の羽をあしらった防具を身につけている。

どちらもこの世界では見たことのない代物だ。


「ところで、エースさん。これから行く島にはどんな奴がいるんですか?」

ルピタはキラキラとした顔でエースを見つめた。

「あー。この世界にはモンスターってものがいねぇんだ。空想の産物だからな。今から行くとこには、獰猛な珍獣がいる」

「ちん、じゅうですか」

ルピタは残念そうに眉を下げた。

「でも、でけぇぞ?狂暴だしな」

エースはニヤリと笑う。

「どんな奴でも、ハンターは必ず獲物を仕留めますよ」

ルピタもニヤリと笑った。





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