誕生日を祝うっていう習慣がいまいち良くわからなかった。
ガキの頃。ルフィ達と狩ったワニのワニ皮をよく街に売りに行ってたときの話だ。

一組の親子が俺の横を通りすぎてった。

両親と手を繋ぎ、楽しそうに顔を綻ばせてたガキは
沢山のプレゼントを買ってもらっていた。

○○君は何歳になったの?

僕もう6歳だよ!

大きくなったな!

うん!ボクもうお兄さんだね!

そうね!生まれてくれてありがとう。



そんな会話が通りすぎてったのを鮮明に覚えてる。


誕生日おめでとうって言われることに
慣れていない。
ダダン達だって俺の誕生日を祝ったことなんてなかった。
ただ、その日だけは
俺の飯だけすこし豪華だったけど・・・。

大人になってからもそうだ。
マルコやサッチ、オヤジにすら誕生日ってやつを教えなかった。
なのに何でか知ってて
その時初めて
誕生日おめでとうって言われたんだ。

それをどう受け止めて良いかわからなかった俺は、中々ありがとうと言えなかったっけ。




そんな俺の誕生日。
それが明日に迫っていた。
別にレイナにおめでとうと言ってもらいたい訳ではなかったが
なんだろうか。
誕生日に一緒の時を過ごしたかった。

自分でも初めての感情に戸惑ったが、それをレイナに告げるべく
俺は口を開いたんだ。
でも、
当たり前だが
レイナは俺の誕生日を知らなかったんだ。
まぁ、そうだよな。
俺は言ってないんだから。

でも、俺の心の中に
少しだけ寂しい何かが流れてく。

そんなこと
疲れた彼女の顔を見たら言えるはずもなく・・・。

明日に押し迫った俺の誕生日。


「大丈夫か?」

「あ、うん。大丈夫。まだ生きてる・・・」

年末恒例だという
カウントダウンライブを見ながら、隣のレイナは半目で時おり白目だ。

「疲れてるんだから寝ろよ」

「ん!へーき!大丈夫・・・まだ生きてる」

「ほんと大丈夫か?さっきからそれしか言ってねぇけど」

「・・・」

ああ。ダメだ。
レイナがユラユラし始めてきた。

ベッドに寝かせてやろうとすれば、腕にぎゅっと抱きつかれる。

「っレイナ!?」

「やだ。一緒に年越しするの」

こんな甘えたレイナの目を、俺は見たことない。
そうか、こいつは眠くなるとこうなるのか。
新たな発見に俺はニヤリと笑った。

「わかった。んじゃ・・・」

俺はそう言ってレイナを後ろから抱きすくめる。
彼女の髪からはふんわりと香るシャンプーの匂い。
それがどうしようもなく俺の胸をくすぶった。

レイナはいつものように抵抗せず、ただ黙って俺の腕に収まってる。
俺はいたずらのつもりで、首筋に軽く口付けてみた。

「んぅ、やだ、くすぐったい」

甘ったる彼女の声が鼓膜を揺する。

「・・・やべぇ。お前可愛すぎ」

耳元で囁けば、レイナからフフっと笑いが漏れた。
テレビでカウントダウンが始まる。
そして

俺たちは年越しを迎えた。

「レイナ!新年明けましてだぞ!」

「んー。そだね」

「・・・あのな。実は今日」

そういいかけた時だった。
すさまじいイビキが俺の耳をつんざいた。
それはレイナのものだった。

「・・・ぷっ」

俺の腕の中ですやすや眠るレイナに思わず吹き出した。
このまま抱き締めてたら、俺が我慢できなくなる。
だから、そっとベッドに寝かせてやった。

「・・・じゃかしいわい!!・・・んふふ」

突然の寝言に驚かされる。
一体どんな夢見てんだ?
気になったが、本人には聞かないことにしよう。


俺はそう思いながらも、#レイナ
の家を後にした。


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あとがき
激短!!
短くなったので
12.5とさせて頂きました!
どうしてもエース君の心情を書いておきたくて的な←

次はちょっとした事件?なお話になります!


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