はぁ。なんかダリィ。

あたしは学食でサラダをつついていた。
ルカは合コンで知り合った新しい彼氏と旅行で、大学サボってやがるし
エリナはずっと付き合ってるあの骨みたいな彼氏と旅行で、大学サボってやがるし。

あたしはサラダを一口。

はぁ。エースのこともそうだけど、メグミが言ってたあの言葉も気になるし。

ああ。なんか色々考えてしまう。

「よう!野々宮!」

そこへ現れたのは松田。

「あ?何?」

「なんだよ。ご機嫌ななめだな。そういやぁ井上と斉藤は?」

「ルカもエリナもサボり。」

「ははっ!どーりで機嫌わりぃのか」

松田はそう言ってあたしの向かい側に座る。

「今日陣内いなくね?」

「あー。あいつなんか飲み会で飲み過ぎちまったらしくてよー。腹壊して休んでる」

「ぷっ!胃腸弱すぎだろ」

松田は確かにっと言って笑った。

「なーんか一人って寂しいよねー」

あたしは頬杖をついてぽつりと呟いた。

「なんだよ。いきなり」

「いや。なんとなく」

「じゃあ俺が付き合ってやろうか?」

「お前みたいなチャラ男、死んでもお断りだね」

あたしはそう言ってサラダを頬張った。

「ひでぇ。なんだよ。気になる奴でもいんの?」

松田の言葉にあたしはフォークを止めた。
気になる奴。
瞬時に浮かぶエースの笑顔。

違う!エースは違う!

ぶんぶんと頭を振るあたしに松田が驚いていた。

「そう言えばさぁ。ワンピースだっけ?あれ1巻から貸してよ」

「おぅ!いいぜ!」

「ありがと・・・」

あたしはそこでまたもやメグミの言葉を思い出した。
カンカンと皿をフォークの先で突きながらあたしは口を開く。

「松田。ワンピースのエースいるじゃん?」

「おー!いるいる。で、エースがどうした?」

「エースってさぁ」

あたしはそこで口を閉じた。
空になった皿だけを見つめ、変に鳴る心臓の音を近くに感じる。

「・・・いや。なんでもないわ」

「なんだよそれーっ!まぁエースはカッコいいよな!男の俺から見てもカッコいい!うん!」

松田が一人でエース談義を始めた。
あたしはいまだ皿見つめをそれを無言で聞く。

「でも惜しいよなーっ!エース死んじまうんだよー!あの、ルフィとのシーンは感動した!俺泣いたし!!・・・ってわりぃ!今から読むのにネタバレしちまった!」

「・・・」

皿を突くフォークが止まる。
それは手からスルリと抜けて、カーンっと床にぶつかり金属音を響かせた。

「野々宮?どした?」

「・・・エース。死ぬの?」

「え、あ。あぁ。」

「・・・ごめん松田。あたし帰るわ」

あたしは立ち上がってカバンを肩に掛けると、足早にその場を立ち去った。
松田が何か言ってたけど、何にも聞こえない。
ただ忙しく鳴る心臓の音がうるさかった。



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