「ふふーん♪ふん♪」

今夜のあたしは盛大にご機嫌だ。
何故ならば今日の合コン・・・。

イケメンをゲットしたからだ。


『え。レイナちゃん二次会いかないの?』

『うん。明日早いから!あ・・・後でメールするよ♪』


これがあたしの合コンテク。
絶対ガツガツしないこと。
これが結構効くんだなぁー!

メアドを貰ってさっさと去る。
そうすればそうするほど・・・イケメンは食いつく!

けど、今までデートまではこぎ着けるのに
いつもそこで終わり。
カップル成立率は低めだ。
あたしの何が悪い。ちくしょう。なんだかイライラしてきた。

あたしは行きつけの居酒屋で、やけ酒した。


「ちっくしょーう!!あたしの何が悪いんじゃああ!ぼけなす!この"ピー"の"ピー"!!!」

あまりに酔っぱらってしまったので、放送禁止用語を叫んでしまう。
さっきまでのご機嫌はどこへやらだ。
なんとか自宅のアパートまでたどり着いたけど、アパートの目の前にあるゴミ捨て場に何やらデカイ物体が落ちているのに気がついた。

定まらない視線を必死で定めれば、それはどうやら人形で・・・

オレンジ色のテンガロンハットを被った上半身裸の人形だった。

「ちくしょう!!誰じゃい!!!粗大ゴミ捨ててったくそったれぇ!!」

あたしは酔った勢いで人形に近づく。
その人形はハットで顔をかくしてピクリとも動かない。
まぁ動いたら怖いですけども。

そっと帽子をつまんで上に上げる。
浮き彫りになる顔にあたしは息を飲んだ。

な。イケメンじゃまいか!!!!

それは今まで出会ったイケメンの中で一番のイケメンだった。

あたしはその場から動けなくなって人形の顔をまじまじと見つめる。
閉じられた瞳を縁取る綺麗な睫毛。
通った鼻筋に、頬のそばかす。
おいおい。酔っぱらってるからって人形にときめくな、あたし。

それにしてもよくできた人形だ。

こんなリアルなマネキンみたことねーぜ。

え。もしかして。

あたしの脳裏に一抹の不安。

もしかして、ガチな死体なんじゃないか。
そう思ったら一気に酔いも醒めて、恐怖が支配する。

そっと帽子を戻して離れようとしたその時。
あたしの腕をガシリと捕まれた。

「ひっ!!!」

あたしは恐怖で動く事が出来ない。ついでに声も出ない。

ムクリと起き上がったそれは、帽子をなおすとこちらを振り向いた。

「・・・誰だ?おまえ」

「・・・」

聞きたいのはこっちじゃ!!!ぼけなすび!!

すると次の瞬間聞こえるでっかい腹の虫の鳴き声。
断じてあたしじゃあない。

「腹へったな・・・。おいお前。なんかくれ」

「はぁ?」

謎のごみ捨て場イケメンを・・・
あたしは家に上げる事になってしまったのだ。






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