「おおおおお！！！海だぁあ！！」
「海ですね♪」
「・・・・・うぷ」
エースは海を見て大興奮。
その隣でメグミがエースを見つめニヤニヤしていた。
あたしはというと
「レイナ？どうした？具合悪いのか？」
「先輩、かお真っ青ですよ？」
今喋りかけんじゃねぇ。
あたしは手で口を押さえて、眼力だけのメッセージを送ると
二人は二、三歩後ずさる。
「さ、さきに、いってて」
あたしはそれだけ言うと、さらに顔を真っ青にさせて強く口を押さえる。
「エース・・・先に行きましょうか？」
「お、おう。レイナほんと大丈夫か？」
エースの心配そうな瞳があたしに突き刺さる。
見るな。そんな目で、あたしを見るな。
メグミがエースの手を引いて、海岸へと降りていく。
意外に空気読めんじゃねぇか。グッジョブメグミ！
二人がいなくなった所で、あたしは早速リバースした。
メグミ(初心者)の運転は想像を絶した。
車ってあんなに揺れたっけ？
車ってあんなに酔ったっけ？
メグミのあり得ない運転テクのせいなのか
それとも二日酔いのせいなのか
あたしは滅多にしない、車酔い(最高レベル)をした。
よくあれで免許貰えたと思う。
あたしが免許あげる人だったら
絶対アイツに免許あげない。
昨日の夜固形物食わなくてほんとよかったー！
あたしはスッキリして、軽やかに海岸に降りた。
もう時期が時期なので、人はまばらだった。
海辺散歩してる老夫婦とかしかいない。
あたしは潮風に吹かれながら目を細めた。
そんな中エースは早速Tシャツを脱ぎ捨てる。
ほんと上半身見せたがり野郎だな。
まぁそんな人いないからいいけど。
メグミはそんなエースにいちいち騒音を製造した。
あたしは持ってきた缶ビールに手を伸ばす。
ああ。どんなに二日酔いだって、どんなにリバースしたって
気づいたら酒飲んでるのが
酒飲みの悲しい性ね・・・。
あたしは潮風に吹かれ
悲劇のリバースヒロインを演じる。
「エースっ！それぇ！」
「うわぁっ！やめろよ！俺が海水に弱ぇのしってんだろ！？」
「うふふ！知ってまーす♪」
「このやろー！お返しだ！」
「きゃあ♪」
なにやってんの？あいつら。
あたしは手に持っていた缶をいつのまにかぶっ潰していた。
メキャメキャになった缶ビールだったものに視線を移して
今なら世界最強になれると勘違いする。
そういやあ、エースってカナヅチだって言ってたな。
沈めてやろうかな。
あたしは新しい缶ビールを手に取りそんなことを思っていた。
「それにしても」
あたしはちょいっとサングラスをずらす。
エースはよく海が似合うなぁ。
やっぱ海賊だからなのか、海を背景にしたエースはいつもと違って見えた。
その分、一緒にはしゃぐメグミに黒い感情を抱く。
そのポジション。
あたしのポジションのはずだったのに。
いや。まてまてまて。
あたしはなに言ってんだ。
別にエースの事なんかどーでもいいさ！
はしゃげばいいさ！！思う存分。
そして沈め。二人とも。
リア充爆発しろ的概念は消えないらしい。
あたしはケータイを手に取った。
あ。
アイツにメールしてみよっかな。
あの合コンの日以来ずっと存在を忘れていたタツヤとか言う奴を思い出す。
「・・・」
あたしはポチポチとメールを打った。
するとすぐに返信がきて正直ビビる。
久しぶり。メールがこなかったから嫌われたのかと思って、こっちからメールできなかったよ。俺って結構ナイーブだか(略)
返ってきたのは、俺のナイーブ論がつらつら書かれたながったらしいメールだった。
誰もお前のナイーブ論なんか聞いてはいない。
うん。ルカやエリナが言っていたウザイというのも頷ける気がする。
ポチポチとメールを打ってると
「なにやってんだよ」
エースがいつのまにかあたしの目の前にいた。
「ぎゃあああ！！」
「そんな驚くこたぁねぇだろ。なんか変だぞ今日のお前」
「へっ変じゃないよい！」
あたしは変な裏声に、変な喋り方までしてしまう。
「ぷっ！マルコみてぇな喋り方だな！」
エースはそう言ってあたしの隣に座った。
へぇマルコって人、こんな喋り方するんだー。
個性的すぎるな。
そう思ってると、エースの手があたしのおでこへと伸びた。
「うひっ！！」
いきなりの事であたしは変な声を出してしまう。
「んー。熱はなさそうだな」
エースの手のひらの感触がダイレクトに心臓を直撃してるようで
あたしの顔は熱を持つ。
「でも顔真っ赤だ。やっぱどっか具合わりぃのか？」
「どっどどこも悪くないし！」
あたしはエースから顔を背けた。
あたし変だ。
今までエースと暮らしてきたけど・・・
こんなにドキドキ(最高レベル)する事なかったもん！
昨日、抱き締められたって・・・
ん？抱き締められた？
昨日を思いだし、さらに顔が炎上する。
思いだし照れなどしたことない。
やっぱり変だ。変すぎる！！！
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