げろー。
二日酔いってなんでこう何回なっても慣れないんだろ?
あたしは朝からトイレと友達だ。
幸いな事にエースは爆睡してて、こんな姿を見られずにすんだ。

あたしは、胃腸薬を飲むとキッチンの椅子に腰かける。
投げられたままの家電に視線を移して、あたしは立ち上がるとそれを適当に棚の上に乗せた。

そういやぁ昨日エースの話を沢山聞いたな。
あん時のエースはすっげぇキラキラしてた。
やっぱあっちの世界の仲間を思えば、あんな顔になるんだろーな。

エースは縮こまってぐうぐう眠っている。

やっぱエースに似合うのは、あーいったキラキラした顔だよな。
どうやったら帰してあげれるんだろう。
んー。
正直まだ彼と居たい。
でもエースはそれを望んでいるのかな?

いや。
彼は絶対帰りたいはずだよ。

あたしはそう決めつけて、あることを思い立った。

海賊なんだよねぇ。エースは。
海賊といったら、海。
エースを海に連れてってやるか。
もしかしたら、帰る手掛かり的なのあるかもだし。
本当は新しくバイトも探さなきゃなんだけど、一日くらいフルで遊んでもいいよね?

そうと決まりゃあ、早速準備だぁ!!!

「ねぇエース」

「んー・・・」

「起きてー」

「んんー・・・」

「海いかなーい?」

「海!!?」

エースは海と言う単語に過剰反応するようだ。

「レイナ!!海に行くのか!?」

ぼっさぼさの寝癖に、まだ眠そうな眼。
ついでにヨダレまで垂らしてやがる。
ガキかお前は。

「行こう!海に!今すぐ!!」

「うん。わかった。だから少し落ち着こうか。」

「落ち着けるか!海だぞ!うみーっ!」

「とりあえずその頭とヨダレどうにかしようか」

落ち着かないエースにそう言えば、顔を真っ赤にして洗面所へ引っ込んでった。

しばらくすれば、シャワーの音がしてきた。
おいおい。風呂入ってるよ。しかもなんか鼻歌聞こえるよ。
まるでデート前みてぇだな。
海が恋人かい。
あたしは準備をする事にした。

着替えに
タオル。
それから・・・

あたしが手当たり次第荷物を詰め込んでいると、チャイムがなった。
誰だよ。
あたしは扉を開ける。

「はーい。どちらさん?」

「あっ!朝からすみません!」

そこには見知らぬ女が立っていた。
なんか、フワッとしたかんじの女で・・・
ゆるフワガールってこんなかんじなんだろーなって染々思う。

「わっ私今日隣に引っ越してきた、飯田メグミっていいます!お隣どうし仲良くしてください!!」

「あー。どうも。あたしは野々宮レイナです。よろしく。」

「あっあの不動産屋さんから聞いたんですけど、〇〇大学に通ってるんですか?」

「え、あーそうだけど・・・」

「私も〇〇大学なんですぅ!一年生なんですけど、同じですか?」

「あーあたしは二年だよ」

「わぁっじゃあ先輩ですねっ!よろしくです!レイナ先輩」

わぁー。なんかすっげぇキラキラしてるんですけど・・・。なにこれ。コイツの後ろから照明でも当ててんのかい?

「あー。ごめんね。これから用事が・・・」

なんか長くなりそうだから、さっさと話を終わらせようと口を開いたその時だった。

「なんだ?客か?」


そこにエースがやってくる。
腰にタオルだけを巻いて濡れた髪をワシワシとタオルで拭きながら
キョトンとした顔でメグミを見つめる・・・


バカ野郎エース。

「チェストォオオ!」

あたしは風呂上がりバカ野郎の頬っぺたを思いっきりひっぱたいた。

「いってぇよ!!!」

「ちゃんと着替えなさい!!」

あたしは今。どうしようもないバカ息子を持つ母親の気持ちがよくわかる。
今なら子ども居ないのに、ママ友が出来る気がする。

目の前のメグミとやらは、口をあんぐりあけたまま動かない。
そりゃそうさ。謎のタオル一丁男がいきなり出てきたんだから。

エースは頬っぺたを擦りながら、くるりと踵を翻す。
その時だった。

「はわぁああああああ!!!!!!」

メグミが奇声をあげた。エースも驚いて、メグミに振り向く。
ヤバイくらい顔を真っ赤にしたメグミが、熱々のドリア食ってるみたいにハフハフしてる。

そのメグミの様に


なんだ?お前なんか食ってんのか?

とエースが怪訝そうに呟いた。


「そっそっそっそのっそのせせせせせ背中の刺青ぶぁーーーっ!!!!」

「刺青?」

あたしはハッとした。
油断していた。彼の背中にはでっけぇ刺青。
しかもその刺青。
見る人が見りゃあ一発でなんなのか分かる代物ときた。

そう。あの人気漫画を読んでる奴なら一発で・・・


ヤベェまさか・・・
あたしはメグミの方をチラリ。

「はぁっはぁっはぁああ!!!!ええええっエースゥウウ!!!!!!!」

メグミの興奮度はMAX。


あたしは頭を抱えた。



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