ねぇエース。
あたしの声が聞こえる?
きっと聞こえないだろうね。
あたし
あんたに伝えてないこといっぱいあるよ。
いっぱいあるのに
なんでいっちゃったの?
でもそれはあたしのわがままだよね。
聞こえないと思うけど
思いきって言うや。
もしまた会えたら・・・・あたしの男になってください!!
これがあたしの返事だよ。
受けとれバカ野郎。
あたしは立ち上がると、さっき落としたビールを拾い上げた。
思えばエースと過ごした時間ってそんなになかったんだ。
なのに、何年も一緒にいるような感覚だった。
あたしは涙をゴシゴシ拭くと部屋をぐるりと見回した。
一人に慣れていたハズのこの部屋も、案外広かったんだって思う。
あたしはアイツと初めて会った日のことを思い出した。
アイツに出会い
一緒に生活して
笑って
泣いて
時に怒られ・・・。
そうして培われていったあたしの思い。
それは気づくのが遅すぎた
確かな恋だった。
完
prev next
back