「おーいレイナ!」

「ん、あ、何?」

ルカに呼ばれてあたしは我に帰った。

「今日の合コン!6時からだからね!」

「あーうん。」

「○△男子大学の超エリートぞろいだから♪」

「あーそうね」

あれからあたしはどこか上の空だ。

アイツがいきなり消え1ヶ月も経った。
朝起きたら、温もりはなく
あたし一人がベッドの上にいた。
どこを探してもアイツが見つかるわけもなく。

あぁ。帰ってしまったんだと思った。

それは案外素直に受け止められたんだ。
だっていずれそうなるって分かっていたことじゃないか。

メグミは半狂乱になって泣いていたけどね・・・

あれから松田にワンピースを借り、ちまちまと読み進めている。
今日の講義はずっとビデオで、漫画を読むにはちょうどいい。
アイツが命を落とす戦争の話をただ淡々と読んだ。

ただアイツの死期が近づくにつれ、あたしはページを捲るのを躊躇う。
一ページ、一ページが重い。

ふっと顔を上げれば、ちょうど戦争の歴史のビデオだった。
なんて皮肉なんだろうか。
あたしは漫画に視線をもどす。

アイツは戦って戦って。
最後は弟を庇って死んだ。
ガタガタと震える手で
漫画を支える。



そこには
愛してくれてありがとう
と残し。
微笑みながら死んでいくアイツがいた。

その顔は、まるで
最後の夜の寝顔のように

幸せそうで・・・


「はいっ!!じゃあ今日のビデオの要約と感想をレポート用紙二枚以上で提出するよーに!!」

教授の声と共に教室が明るくなる。

あたしは漫画本を閉じた。

もしアイツの世界に学校があって
歴史の授業があったとして
その授業では
この戦争の、要約と感想のレポートを提出するのかな?
そんなこと考えていたら
レポートなんか書く気になれなかった。



ねぇエース。








あたし泣かないよ。




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