あーむしゃくしゃする!
あたしは異様なイライラに襲われていた。
エースと、仲良く喋るメグミに?
メグミと、あたしの知らない話をするエースに?
どっちにもイライラする。
マルコって人はいるって聞いたけど
パイナップル頭だってあたし聞いてないよ!
あたしはコンビニにズカズカ入ってって、ズカズカ品物をかごに入れた。
くそ。くそ。くっそ。
あたしと居るより、メグミといた方が楽しいんじゃねーの?
でも、待って。
なんであたしこんなにイライラしてんだ?
ぴたりと商品をかごにいれようとする手が止まった。
だって別にエースが誰と仲良く喋ってようが関係ないし、むしろあっちの世界にいたときの自分を知ってる人と話が弾むのは当たり前だし。
あたし。自惚れてた?
エースにはあたししかいないって。
この世界でエースはある意味有名人だ。
そんなエースを知ってる人はごまんといるはずなんだ。
別にあたしじゃなくても
いいんだ。
あたしは手に取った商品を静かに戻した。
なんで。なんでこんな変な気持ちになるんだろ。
あたしエースの事・・・。
違う、違う!!
これは、あれだ!
自分にしかなついてないと思ってた飼い犬が、意外に人懐こかった時のあれだ!
あたしは頭を横に振ると、レジに向かった。
「おかえりレイナ!!」
帰れば、エースが出迎えてくれた。
その横には
「先輩おかえりなさいです!」
キラキラしたメグミ。
きっとエースもこんなゆるっと、ふわっと、な女がいいんだろうな。
いかにも男ウケよさそうな感じだもんな。
うん。
あ。いかん、いかん。
あたしは自分の中の黒いもやを払うように、とびっきりの笑顔を見せた。
「た、だい、ま」
ああ。
口の端がピクピク痙攣してるのが、自分でもよぉく分かる。
「なぁレイナ海いかないのか?」
そこでエースはとびっきりの爆弾を投下したんだ。
「え?これから海に行くご予定なんですか?じゃあっ私もご一緒しよっかなぁ!!」
爆弾は着弾し・・・
爆発した。
「じゃあ出発しますよぉ♪」
「おう!頼んだぜメグミ!」
「あはは。わる、わるいねぇ。車だしてもらってー。バイクでいこーと思ってたからさー」
あたしはメグミ(初心者)の運転で、海に行くはめになった。
あたしの口の端の痙攣は治まらない。
「いいですよぅ!私のエースの為ですから♪」
あはっ♪とかわいらしい笑い声をあげてメグミが言った。
こいつ。今さりげなく"私のエース"って言ったよ。
すげぇな。メグミ。お前はあたしが一番苦手とするタイプだ。
隣のエースはそんなあたしの気も知らずにノリノリノリスケだ。
呑気な奴め。
間違ってハバネロ食べて、
ひぃー辛いー
ってなればいいのに。
こうしてあたし達は海へと出発したのである。
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