家に帰るやいなや。
あたしはエースに詰め寄られた。
「レイナ。あの仕事はお前がやりたくてやってたのか?」
エースの顔はいまだ悪魔みたいだ。
「だって・・・稼げるしさー」
あたしはエースから顔を背けながら呟く。
するとぐいっと顎を掴まれて、強制的にエースの方を向かされる。
「ずっと。あんな仕事してたのかよ」
あたしは何も言えない。
そればかりか、次第にエースにイラつき始めてしまったのだ。
「っうるせぇなぁ!!!あたしがどんな仕事して、どんな風に金稼ごうが、エースに関係ねぇじゃん!」
そう言ってやれば、あたしの頬にエースの手のひらが飛んできたんだ。
大きくて、温かいエースの手のひらがあたしの頬を叩いた。
パァンっという乾いた音に、ヒリヒリと痛み出す皮膚。
「っ・・てんめぇ!!やりやがったな!」
あたしは渾身の力を込めてビンタを返してやろうと手を振り上げる。
その手はエースに掴まれた。
そのまま手を引かれ、あたしはエースの腕の中。
ん?
なに展開?これなに展開?
あたしは怒りもおさまり、この状況に?マークを浮かべた。
「バカ野郎!!!」
エースが叫ぶ。
「え、えーす君??」
「頼むから、自分の身体粗末にすんなよ・・・」
消え入りそうな声で囁かれる。
そんなこと、今まで言われた事ないや。
「ごめん」
なんか、すっごく申し訳なくて謝る。
なんでだろう。あたしはそんな風に言ってくれる人なんて居なかったからかな?
エースはしばらくしてあたしを離すと、頭をワシワシと掻いた。
「わりぃ。」
「いや。あたしこそ・・・」
「・・・その、俺。レイナにはそういう事してほしくねぇよ」
「うん。」
俯いてそう言えば、エースの大きな手のひらがあたしの赤くなった頬を擦る。
「痛かったよな。ごめん。」
「めっちゃ痛かった。」
あたしはエースの頬を軽く叩く。
「これでおあいこじゃね?」
そう言って笑えば、エースも眉をよせて笑ってくれた。
そのあとは、エースの為に手料理なるものを作る。
「どーなっても知らないからね。死んでも責任取んないよ。恨まないでね」
あたしはエースに断りをいれて、野菜炒めを作り出す。
早速包丁で手を切った。
「いってぇえ!!!」
「どーしたレイナ!!」
エースがすぐさまやってきてあたしの手を取る。
「手ぇ切ったのか。よし!」
エースはあたしの指先を・・・
「おいおいおいおい。なにやってんだアンタ」
あたしはエースの口に入れられそうな指を瞬時に引いた。
「何だよ。舐めときゃなおるぜ?」
「うん。じゃあ自分でやるわ。」
あたしはそう言って指をくわえた。
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