「レイナ。お前なにやってんだ」

エースの顔は明らかに怒ってる。
あたしの腕をぐいっと掴むと、外へと連れだそうとした。

「ちょっ!エースっ!いてぇって!」

あたしはエースが掴む手をほどこうとするが、全くとけない。

「いいから来い!!!!帰るぞ!!!」

初めて聞いたエースの怒鳴り声。
あたしはそれにビクリと反応した。


外へ出た瞬間、あたしたちは男に囲まれた。
オーナーの部下である恐い面々である。
ヤヤヤヤヤバイって!!!
オーナー怒らせたら

ヤヤヤヤヤヤヤバイって!!!




あたしはエースの後ろに隠れて服をぐいぐい引っ張った。

「ヤバッヤバイって!!謝って!今すぐ謝って!」

「あ?なんでレイナにいかがわしい仕事させてた奴らに謝んなきゃいけねぇんだ?」

「させられてたわけじゃねーって!自分で考えて仕事してたんだよ!」

エースはその言葉に、あたしに視線を移した。

「あ?なんだって?」

あっあれぇ?あたしなんかまずいこといったかなぁ?
エースの怒りの目がこちらに向けられてるよ?
あたしは変な汗がどっとでた。

「おきゃくさーん!困るんですよねぇ!こんなことされちゃあ」

「どうケジメつけてくれますー?」

恐い面々がエースに詰めよっていく。
しかし、エースはそんなの全く無視であたしを睨んでいた。

「おいっ!!!聞いとんのかこのガキゃあ!!!」

「落とし前どうつけてくれるんかって聞いとるんじゃ!!」

「うるせぇよ」

エースはそんな恐い面々にうるせぇよって言った。
ひぃいい!!!ヤバイヤバイ!!
エースやばばばばッッ!!
とにかく謝って!頼むからー!!!!!

あたしの願いは虚しく。
恐い面々様達は大分ご立腹だ。

「ええええええーす!!!!やばばばばッッヤバイって!!謝ろう!あたしも一緒に謝るからぁああ!!」

「おめぇもうるせぇよ。俺を誰だと思ってんだ」


エースはそう言って、手前にいた恐い面々1号を蹴り倒した。
その他2号3号4号5号は、呆然としたあとすぐに恐い顔に戻って

「なにさらしとんじゃわれぇええ!!!」

「おいたが過ぎたなくそガキ!!!!」

とかなんとか叫びながらエースに向かってくる。
エースの手はポケットに突っ込まれたままで、動こうとしない。
このままじゃあ
エースがボコられる!!

そう思った瞬間、エースは飛んできた拳をヒラリとよけて
勢い余った2号の腹をおもいっきり蹴りあげた。

2号撃沈。

そのあと殴りかかる3号の顔面に、ポケットから出した右の拳をたたきこみ

4号には左アッパーをプレゼント。

さらに5号には頭突きを食らわす。


あっという間に気絶した恐い面々にあたしは開いた口がふさがらない。
なにこの人。
強すぎる!!!

エースは無傷で
5人を一分もかからずに倒してしまった。
眉間にシワを寄せ、弱ぇと呟くその様は悪魔だ。
悪魔以外の何者でもない。

「あらーん!!」

そのあとオーナーが出てきて一言。

「ボウヤー!あなた強いわねぇん!!ほれちゃいそーっ」

オーナー。あんたそれでいいのか?

「レイナは連れて帰る。こんな所は辞めさせるからな」

エースはそう言ってオーナーを睨んだ。
オーナーは、
きゃーん!ステキー!もっと睨んでー!
とか叫んでいたが、それに構うことなくエースはあたしを連れてさっさと歩く。



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