「きゃあ!おにぃさんかっこいいわね!よかったらうちの店に寄ってってよぅ!」
女はそう言って俺の腕に抱きついてきた。
腕に感じる独特の柔らかさ。
あれだ。これは。あれだ。
こっちの世界にきてから女は抱いてない。
ましてや元々そっちが盛んな方な俺にしてはよく我慢出来ていると思うくらいだ。
「ねぇ。おにぃさんかっこいいからサービスしちゃうよ?あたしとイイコト・・・しよ?」
上目遣でそう言われれば、身体がズンッと熱くなる。
いや。待て。ダメだ俺。
俺は壊れ行く理性を必死で修復した。
「わ、わりぃ。俺今忙しいんだ」
そう言って女を剥がす。
偉いぞ俺!
そうか。このにゃんにゃんくらぶってのは
俺の世界にもある娼館だ。
「えーっつまんないぃ!」
女はそう言いながら店に戻ろうとする、そんな女を俺は呼び止めた。
「なぁ。」
「なぁに?その気になってくれた?」
「ちげぇ。あの看板のねぇ建物なんなんだ?」
すると女はダルそうに話始める。
「あー。あれぇ?デリヘルの事務所よー。デリヘルなんかより、あたしの店のがいいわよ」
「でりへる?」
「なぁに?おにぃさんデリヘル知らないのぉ?つまりぃ。電話すると家やホテルに女の子がきてくれんの!」
それは、つまり。
あのレイナがいる建物は・・・
さっき車に乗っていったのは・・・
それを理解した瞬間。
俺の理性は、違う意味で崩壊した。
俺はあの建物一点を見つめ、その中へ入った。
金髪の男が驚いた表情で俺を見ている。
俺はそいつに近づく。
すると男はアタアタと立ち上がり壁に背をつけた。
そいつの顔すれすれに拳を叩き込んでやれば、ゴスッという音と共に壁がひび割れた。
「おっ。おひゃくさん!こ、こまります!」
男は泣きそうな顔で俺を見てきた。
そこへ現れたのは
顔を強ばらせた
レイナだった。
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