あれからレイナは手料理を作ってくれない。
いっつもなんだかんだで作ってくれない。

死ぬほど美味い料理。食ってみてぇんだけど・・・

そんな俺の願いも空しく、レイナは
だいがくやら
ばいとやら
忙しそうだ。

だから俺はワガママ言わねぇように我慢したんだ



「だから、内緒だって!じゃああたし早めに終わらせて帰ってくるから!待っててね」

彼女はそう言って家を出た。
レイナは俺に何の仕事をしているのか教えてくれない。

最初はさほど気にならなかったが、こうも内緒にされると逆に気になってしまうのが
人間の性だと俺は思う。

「よし!」

俺は決めた。
レイナにバレたらすげぇ怒られるだろうが、ここはアイツをつけてみよう。

俺はこっそりとレイナの後をつけたんだ。

レイナはバイクではなく徒歩で何処かに向かっている。
俺は一定の距離を保ちつつ、彼女の後を追いかけた。
電柱に隠れ隠れ。
これじゃあまるで、ストーカーじゃねぇか!

いや。これはストーカーじゃねぇ!男の意地なんだ!

俺は自分自身に言い聞かせる。

「ねーねーにぃちゃん。なにやってんだ?」

「うぉ!!」

いつの間にか、俺の足元に子どもが立っていた。

「ふしんしゃか?」

その少年はどことなく、幼い頃のルフィに似ている。
俺はその少年の頭にぽんっと手のひらを乗せ

男にはやらなきゃならねぇ時がある。

と言って、自分のストーカーを正当化した。

そんなことをやっていたら、レイナの姿を見失ってしまう。

「ヤベェ!じゃーな!ボウズ!」

少年に別れを告げ、俺は走り出した。

やっと見つけたレイナは、何やら繁華街へと歩んでいた。

「・・・アイツ。マジでどこいくんだ?」

俺もそこへと歩んでいく。

こーいう所はあっちの世界にもあった。
長い航海の後着いた島では
よくこうした繁華街で酒を飲み
その後、その辺でひっかけた女を抱く。

そんなことを思い出した。

レイナは何やら小さな建物の中へ、看板もなにもないそれは
一体なんなのかが分からない。

俺はしばらく遠くから見守る事にした。

しばらくすると、レイナが建物から出てきた。
黒い車に乗り込み、何処かへ行ってしまう。
ん?何処へいくんだよ。
まさか連れて連れていかれちまったのか!?
いや。この国は俺がいたところみてぇに物騒じゃねぇんだ。
落ち着け俺。ここで騒いだらまたレイナに迷惑がかかっちまう。

俺は不安にかられるが、とりあえず落ち着いて見守る事にする。

「あ。」

辺りが薄暗くなった頃。
あの車が帰ってきた。
降りてきたのはレイナ。それと入れ替わるように別の女が車に乗っていく。

「ねぇねぇおにぃさん!」

観察に必死な俺を呼ぶ甘ったるい声。
振り返れば、そこには色気たっぷりな女がきわどい服を着て立っていた。

「おにぃさんさっきからなにやってるのぉ?ずぅっとうちの店の前にいるからぁ」

その言葉にはっとして、俺は自分が立っている近くにあった建物を見上げる。
そこにはどぎついピンクのネオンが煌々と光る看板があった。

にゃんにゃんくらぶ?

猫屋か?

俺は看板とその女を交互に見つめた。



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