「・・・はぁ」

あたしは盛大なため息をついた。

エースに手料理食いてぇとか言われてしまったんだ。
あたしの料理は食べると死ぬ。と言われるくらい不味い。

作った本人ですら、味見だけで死ぬ。

エースは何を勘違いしたのか、キラキラした笑顔で楽しみにしてるんだ。
なにかと理由をつけて、早1週間経つが作ってやってない。

そのたびに、エースの不満炸裂な目と
じゃあ今度な!
っていう期待の目が




痛い。
痛すぎる。


今日は二限しか講義が入ってない。
その後バイトかぁ。

しかたねぇ。

今日作ってやろう。

あたしは今日。
凶器ともいえる手料理を作る決心をした。


買い物いって、食料品買って
家に一回帰って、買ったの置いて
早めにバイト行って、早めに帰って
じっくり凶器・・・じゃなくて手料理を作ってやろう。

あたしは頭の中で計画を立てると、うんうんと納得した。


講義を全て終えて、あたしは颯爽とスーパーへ参上した。

「んー。得意料理ってなんだ?」

得意料理なんてものはない。何故なら料理が得意じゃないからだ。

「作ったことあるのって・・・」

あたしはうーんと唸る。
そこで不意に思い出したのは、幼い頃の自分だった。

あたしが初めて作ったのは野菜炒め。
それもキャベツをちぎって、もやしを入れただけの粗末な野菜炒め。

それを初めて食べたのは・・・

あー嫌だ。
変な事思い出した。

あたしは頭をブンブンと振る。

とりあえず、野菜炒めでいいか
キャベツに玉ねぎ。
人参に・・・

あたしは思いつく限りの野菜と調味料を買って帰宅した。

「ただいま」

「レイナ!!早かったな!」

エースがキラキラした笑顔で迎えてくれる。

うっ!!眩しい!やめろ!その期待に満ちた笑顔!!

「今日こそ作ってくれよ!死ぬほど美味い料理!」

「あー。作るよ。でもバイトから帰ってきてからね」

あたしは冷蔵庫に買い物したものを入れながら呟いた。

「・・・今日もばいとか」

「うん」

「なぁ。いい加減おしえてくれよ。何の仕事なんだよ」

「だから、内緒だって!じゃああたし早めに終わらせて帰ってくるから!待っててね」



prev next

back






「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -