俺がこちらに来てから、もう3日も経ってしまった。
どうやって、どうして、こうなっているのかは全く理解出来ていない。
日頃の行いが悪いからなのか?
いや。俺は断じて悪くない。

・・・多分。



俺はレイナがだいがくに行った後、重い頭を抱えて部屋に散乱した空き缶拾いを始めた。
俺がこの世界で出来るのはこれくらいなんだ。
金を稼ぐことも
料理も
一人で歩くことも
出来ねぇんだ。

こっちに来てからつくづく自分の小ささが目立つ。

ましてや火拳のエースと呼ばれ、多額の懸賞金までかけられている俺が
女の世話になっているという時点で情けない。

「はぁ」

一通り空き缶を拾い終えた俺は、棚に置いてあった俺が描かれている奇妙な本に手を伸ばした。

この世界では、俺やルフィが何故か本になっている。
グランドラインであり得ねぇ体験を沢山してきたが
こればかりは経験がない。

「なんなんだ。この世界は」

独り言は誰もいない室内に消えていった。
俺は本を棚に戻すと、机に突っ伏す。

次に思い浮かんだのはレイナの事だった。

アイツは得体の知れない俺を世話してくれている。

容姿はそれなりイイ女だが
言葉使いは乱暴だし、暴力的だし・・・。
でもたまに見せる笑顔が、俺に癒しをくれたりもする。
・・・って何を言ってるんだ俺は。

いつもなら腹が空いて仕方ない時間帯なのに、二日酔いのせいなのか・・・
はたまた、昨日明らかになったこの世界での俺の真実のせいなのか・・・

全く食欲がなかった。



「レイナ。早く帰ってこねぇかな」


今日はばいとってやつがあるって言っていた。
レイナは、だいがくで勉強し
ばいとで仕事し

俺には出来ねぇな。

なんて軽く尊敬する。



俺は目を瞑った。
オヤジや仲間の事。
ルフィの事。
あっちの世界へ帰る方法。
こっちの世界のレイナ。

走馬灯のように流れては、消えていく。

俺は帰らなきゃならねぇ。
やらなきゃいけねぇこともある。
ケジメをつけなきゃいけねぇ奴もいる。


俺はムクリと起き上がり、またあの本を手に取った。
パラパラとめくり、それを読み進める。
これはアラバスタに行った時だな・・・
まるでアルバムを見るかのように、俺は過去に目を細めた。



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