「・・・でーあるからにして・・」
ルカとエリナと別れそれぞれ別の授業へ。
次の講義はほぼ寝てた。
ほぼ意識不明だった。
なんだかドッと疲れてしまったあたしは、食事中寝るエースのように机の上に突っ伏して寝ていた。
「はっ!!」
気付けば、講義は終了。
全く意識不明だったあたしは欠伸を一つすると、次の講義の教室へ向かうべく一度も開かなかった教科書をしまう。
「おい。さっき学校に来てた男みたか?」
「あー。あの見たことねぇヤツだろ?」
寝ぼけた頭に響いてきたのは、後ろの席に座っている男子の会話。
あー。この声、松田と陣内か・・・
「アイツさぁ。あのエースにそっくりじゃあなかったか?」
「確かに!そっくりな帽子も被ってたしな!」
ん?
こいつらエースの話してる?
あたしは教科書をしまう手を止めた。
「ワンピースが実写になったら、エースは絶対あんな感じだよな!」
「ははっ!確かに!」
ワンピース?
実写?
ワンピースを実写?
エースは絶対あんな感じ・・・
エース・・・
ん?なんでこいつらエースの事知ってんの?
「ちょっとお前ら!!」
あたしは後ろを振り向いて、松田と陣内に詰め寄った。
「うぉっ!野々宮!!」
「んだよ!ビックリするじゃねーか!」
「あんたら今なんの話してた?」
松田と陣内は顔を見合わせて目をパチクリ。
「何って・・・」
「ワンピースの話」
「ワンピース・・・」
あたしの頭にはヒラヒラのワンピースが浮かぶ。
「ヒラヒラのアレ?」
「ぶはっ!ちげぇよ!漫画の!」
あぁ。そっちか。
あたしは見たことないけど、名前なら知ってる。
アレでしょ。なんか人気ある漫画なんでしょ?
ん?
なんでその人気漫画とエースがかんけーあるわけ?
「ねぇ。さっきエースって言ったよね?」
「あぁ。火拳のエース」
ひけんのえーす。
ん?
松田がなんでしってんだよ。
「・・・ポートガス・でぃ・エースって知ってる?」
「はぁ?お前何言ってんだ?ワンピースのキャラクターだよ。そいつが火拳のエースって言われてんの」
んんん?
漫画のキャラクター?
どゆこと?
え?
「そのエースににてるヤツがいたなーって話してただけだよ。なぁ?」
「あぁ。」
松田と陣内は怪訝そうに言った。
「ねぇ。あんたらどっちかさ、そのワンピースって漫画持ってる?貸して欲しいんだけど」
「野々宮が読むのか?めずらしー!漫画なんか滅多に読まねぇのに」
「俺持ってるぜー。18巻の一冊だけだけど」
松田がそう言ってあたしにそれを手渡した。
それを受け取った瞬間、ドクンとあたしの心臓が悲鳴をあげた。
「それがエース。ちょうどエースが表紙の巻だな」
松田が指した先に描かれていたのは、あたしが知るアイツだった。
え。
どーゆうことなの?
「ごめん松田。明日には返すからさ」
「おう!」
「じゃあまたなー」
あたしはワンピース18巻を鞄にしまうと、足早に次の教室へ向かう。
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