あたし達が目指すのは、お馴染みJUSCO。
さっきあたしが選んだ服は、エースの趣味に合わなかったらしいので・・・
そんなワガママボーイには、てめぇで選んでもらう。
JUSCOは休日ということもあってか、結構な混み具合で・・・
エースはその人の多さにも驚いていたが、何よりJUSCO自体に驚いていた。
数ある専門店の中でエースは一つのショップに入っていった。
あれや、これやと服を物色するエース。
どうやらお洒落には、それなりにだわりがあるようだ。
「試着してみたら」
「しちゃく?」
「試しに着てみたらってこと」
エースはおおっ!と言って、その場で服を脱ぎだそうとしたので頭を軽く小突いてやった。
「いてぇっ!!なんだよ!」
「バカ!ここで脱がないでよ!!あそこで試着すんの!」
あたしは店の奥にあるフィッティングルームを指差す。
エースはあぁ。と納得してそこへ入っていった。
「おーい。ちょっと見てくれよ」
そんな声がカーテン越しに聞こえる。
あたしはしふしぶカーテンを開けた。
「・・・」
「どうだ?」
エースはウキウキしながら聞いてくるが、あたしは瞬きすら出来ずにいた。
そこにいるのはエース。でも服一つでこんな変わるものなのかと・・・。
元々イケメンだが、更にイケメンだ。
黒を基調にしたファッションは、彼が元々持っていたオレンジのテンガロンハットを際立たせている。
「なんだよ。どうした?」
エースはあたしの目の前で手をヒラヒラさせていた。
「え。あ。ん。いっ、いーんじゃないかい?」
するとエースはニヤリと笑って
「俺に見とれてたろ?惚れちまった・・」
「自惚れんな」
あたしはカーテンを勢いよく閉めた。
エースの日用品をとりあえず最低限買って、食料品も買って・・・
あたし達は帰路につく。
もう辺りは暗くなりはじめていた。
「あー。やっぱ秋だ・・・さみぃ」
あたしはそう言ってぶるりと身震いをする。
「そうか?」
エースはケロリとして、大量の荷物を軽々持っていた。
ちゃんと服をきたエースにあたしは妙に緊張してしまって、それ以上は喋らずに・・・
一番星が輝き始めた帰路を、ただ黙々とあるったのだった。
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