帰り道。
コンビニ袋、三袋。
それとJUSCO。
エースはそれらをすべて持って、あたしをチラチラ横目で見てた。
それは何故だかあたしはよーく知っている。
あたしが最高潮に機嫌が悪いからだ。
結局あたしが支払った代金。
あぁ。さようなら二万円。
「いっ、いやぁ。ここじゃあベリーが使えねぇのか。参った参った」
エースの声が裏返ってる。
でもあたしはそれに反応することなくただ黙々と歩いた。
ベリー?
お前はストロベリーでもかじってろ。
そんな思いでエースを睨めば、彼は気まずそうに目を逸らした。
「悪かった」
突如ピタリと止まるエースの歩み。
あたしは振り返って彼を見た。
「ここじゃあ俺の知らねぇことばっかで・・・。お前の事困らせちまって悪かった。」
そう言うエースの顔はひどく哀しそうで、あたしはそれを見た瞬間息が詰まりそうになってしまう。
「俺が知ってる事、常識、全部。こことは違うんだな」
「・・・エース」
「ごめん」
そう言ってテンガロンハットを深くかぶり直し、深々と頭を下げたのだった。
「帰ろ。」
あたしの口から飛び出した言葉にエースは頭を上げる。
「腹へってんでしょ?帰って一緒に食べよ」
一体なぜ?
あたしの目の前にいる人は、ワケわからないし、正体不明だし・・・。
でも、きっと悪い人じゃあないって
そう思ったから。
あたしは帰ろうって言った。
「ありがとう」
エースはそう言って泣きそうな笑顔を作ったんだ。
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