「ねぇ。」

「なんだよいきなり!!」

エースは不機嫌そうだが、あたしはもっと不機嫌だ。
不機嫌通り越して、殺意さえ湧いてきた。
今ならこの殺気だけで殺れる気がする。

「あたし待っててって言ったよね?」

「ああ。言ったな」

「じゃあなんでついてきてんの?」

「一人で居たってつまんねぇだろ」

その言葉に、あたしは不覚にもドキリとしてしまった。
しっかりしろ。あたし。のまれんな。

「それに、腹も減ったしなぁ」

あたしに再び殺意が湧いた。

はぁっとため息をついて、とりあえずエースを見上げる。

「一緒に買い物行こうぜ?お前の食料全部食っちまったお詫びだ。俺が食料買ってやる」

女って生き物は"奢る"という言葉に弱い。

あたしはとりあえずエースにここで待ってろと釘をさしあり得ないスピードで皆の味方"JUSCO"へ走った。
走れば五分の距離。JUSCO様々だな。

JUSCOにつけば、あたしはあり得ないスピードで紳士服コーナーへ。
さらにその紳士服コーナーの特売コーナーで適当に上に着るもんを手に取ると、レジで会計を済ませてあの裏路地へ。

「・・・なんでそんな息切れしてんだ?」

おとなしくエースは待ってて、あたしを怪訝そうな目で見てきた。

「こ。これ・・・これ着て」

JUSCOの袋を渡せば、エースはその中から服を取りだし

「趣味わりぃなお前」

って言ってきた。

「上半身裸よりましだろ!!!つかそんなんであるってたら、警察呼ばれるわ!!!捕まるわ!」

「けいさつ?捕まる?」

エースはしぶしぶ袖をとおしながら答える。

「あんた警察も知んないの?!」

「ああ。知らねぇ。俺達海賊を捕まえんのは海軍だからな」

「かいぐん?」

あれか。海上保安庁の事言ってんのかな?
残念だが、ここは海猿の管轄外だ。

「そうか。この島には海軍がいるんだな?確かにこの刺青さらしてちゃあまずいな」

エースはそう言ってニッと笑う。
なんか勘違いしてるけど、まぁ納得してくれたならいいや。

あたしはホッとして、

「そういえば、その背中の刺青。なんのマークなの?」

って聞いた。

「お前。白ひげをしんねぇのか?これは白ひげ海賊団のだな・・・」

「うん。わかったもういいや。とにかくさっさと買って帰ろう」

ごめんなさい。聞いたあたしがアフォでした。

エースがまたわけっちゃあわからん事言い出したので、その腕を強引に引いてコンビニに連れてった。



「うわぁ!!!すげぇなレイナ!!」

コンビニに来たことねぇのかこいつは?って位はしゃぐエースに、あたしは他人のふりをしたくて堪らない。

「ほら。さっさと買って帰ろう!」

エースは並べられた弁当に興味津々で、聞いてもいない。
本当になんなんだろうか。こいつは。

あたしは適当にお菓子やらジュースやらをかごにほおる。
サンドイッチか、おにぎりかで迷っていると・・・

一気にかごが重量を増した。

「重っ!!!」

あたしは咄嗟に叫んでしまう。

かごに目をやれば大量のお弁当。
こいつはフードファイターなのか?

「わりぃ!ほら持つよ」

エースはその大きな手のひらを、あたしに差し出す。

「あっ、ありがと」

その手は男らしいゴツゴツした手で、指はスラリと長く、まさに理想の男の手。
イケメンは頭のてっぺんから脚の爪先までイケメンなんだとなんだか感動した。

「ここで金払うんだよな」

エースは軽々とかごを持ち上げると、レジを指差す。
あ。それは知ってるんだ。と変に関心してしまう。

結局サンドイッチにしたあたしはそれをかごにほおると、会計のためにはレジへ向かうエースについていく。

「合計15,007円になります。」

うわ。あたしコンビニでこんな使ったことないよ。
あたしはその合計金額に引いた。

エースはレジに表示された金額を見て、安いな。と呟くと、ポケットから数枚のお札を出した。

すると、レジのねぇちゃんの顔がひきつったんだ。
あたしは何か嫌なものを感じて、エースが出したお札を見てみる。

「・・・わお」

思わずそう言ってしまったあたしの視線の先には、見たこともないお札が出されていた。

「なんだ?早く会計してく・・・」

「すいませぇん!!これでお願いしまぁす!」

あたしはエースとそのお札をどかすと、二万円をおねぇちゃんに渡す。
レジのねぇちゃんは苦笑いで会計した。




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