ルーカスとリエッタの姿はひっそりとした田舎の村にあった。
まるで村人全員が家族のよう。そんな小さな村だった。
『ルーカスさん!ルーカスさん!』
ルーカスは呼ばれて立ち上がる。
そこには満面の笑みを浮かべた村の女医が立っていた。
『産まれたよルーカスさん!可愛い男の子と女の子だ!』
ルーカスは一目散にリエッタの部屋へと向かう。そこに居たのは夢にまでみた子供たち。そして慈愛ある微笑みで子供たちを見つめるリエッタの姿だった。
『アナタ』
『リエッタ。よくやった!本当に・・・』
『泣かないでアナタ。今日は喜ばしい日なのだから』
途中で泣き出したルーカスは、涙を乱暴に拭うと小さなベッドで眠るその赤子達を覗き込んだ。
先に産まれた姉にあたる女の子。
それはルーカスによく似た栗色の綺麗な髪。
弟にあたる男の子は
漆黒の黒髪だった。
二人ともすやすやと眠り、そんな姿をみたリエッタとルーカスは顔を見合せ笑った。
『男の子の方に憑いてしまったみたい』
ポツリと口を開くリエッタに、ルーカスは少し悲しそうな目をして笑う。
『言ったろう?この子達は何があっても俺とリエッタの大切な子供だ。そうだ。名前をつけなくちゃな』
ルーカスの大きな掌がまず女の子を撫でる。
『この子はルピタ』
そして次に男の子を撫でる。
『そしてこの子がルシファ』
そこでリエッタが一筋の涙を流す。 それは歓喜の涙で、止まることを知らなかった。
『愛しい我が子よ。・・・産まれてきてくれてありがとう』
ルーカスの大きな両方の掌が小さな二つの頭を撫でる。
『ほらほら!もっと近寄って!』
村の写真屋が笑う。
かしゃりと押されたシャッターに
刻み込まれたのは
暖かな家族写真だった。