リエッタは子を妊娠してから
ある夢を視るようになった。
それは決まって恐ろしい夢だった。
見たこともない巨大な生き物が
人々を次々に殺戮し、そして1つの村が消える。
そこで夢は終わる。
『まぁ。あれでしょうね。妊娠すると女性は情緒不安定になるものなのよ。』
『そう、ですか・・・』
『大丈夫。今は元気な赤ちゃんを産むことだけ考えて!それにしてもリエッタさん。この月齢なのにとてもお腹が大きいわね。もしかしたら双子かもしれないわ』
月に何回かある助産婦による検診が終わった。リエッタはそっと膨らんだ腹を撫で
自分の中に宿る命に愛を伝える。その度にあの夢は鮮明かつリアルになっていった。
『何?双子!!?』
任務から帰還したルーカスは瞳を輝かせた。
『ええ。今日助産婦さんから双子の可能性が高いって言われたの』
『すごいぞ!リエッタ!ということは・・・。二人分の名前を考えなくちゃな!』
『そうね。』
『実はもう考えてあるんだ!』
『え?赤ちゃんの名前を?』
『ああ。でもまだ秘密だ!』
『ふふ。アナタったら』
ルーカス膨らんだリエッタの腹にそっと頬を寄せ目を瞑る。
『パパだぞ?早く顔を見せておくれ!』
絵にかいたような幸せだった。
しかしリエッタはあの鮮明な夢が頭から離れずにいた。