「それでは!!皆さん!!行ってまいります!!」

朝。綺麗に敬礼をしたルピタがニンマリと笑った。
海軍船に乗るにあたり、武器の類は持たず
ほぼ丸腰状態の二人が乗り込んでいく。

「麦わらァ!!てめぇもだ!早くしろ!!」

「後五分・・・むにゃむにゃ」

半分寝ているルフィを引きずるようにして海軍船に乗り込むスモーカーを白ひげが呼び止めた。

「おい。煙小僧」

「・・・」

スモーカーが振り向けば白ひげがニヤリと笑う。

「娘達がしばし世話になる」

「・・・」

その言葉にスモーカーは何も返そうとはせず、踵を翻すとそのまま海軍船に乗り込んだ。

ざざぁと波音を立てモビーから離れゆく海軍船。

「ルピタ!!」

甲板でそれを眺めゆくルピタの名前が呼ばれた。
その声の主はエースで、いつものように眉間にシワを寄せている。

「エース隊長ー!行ってきまーーす」

まるで遠足に行くようなノリで手を振るルピタに、エースは言おうとした言葉を飲み込んで
盛大にため息をついたのだ。



ガチャンと牢の鍵が閉められた。

「お前らにはここで大人しくしてもらうぞ」

そう言ってスモーカーはくるくると指先で牢の鍵を回す。
その牢の中にはナミ、ルフィ。
そしてルピタ、チチカナの姿があった。
ナミは未だ現実を受け入れきれず、部屋の隅で項垂れる。
そんなナミに気を使ったのか、ルピタが両腕をあげた。

「そだそだ!改めて自己紹介しましょう!私はルピタっていいマース!」

「ウフフ。そうですわね。わたくしはチチカナと申します。」

「おぅ!俺はルフィ!!海賊王になる男だ!!」

「それは知っとるわーー!」

ナミの渾身のツッコミが響きわたる。

「私はナミ。航海士よ。それよりも貴方達すごいっていうかなんていうか・・・」

ナミはニコニコする二人を見てはぁっとため息を1つ。

「ナミさんと仰るのですね。」

「航海士ってすごーい!!」

そんな二人の様子にさらにため息を追加する。

「なんでそんなに余裕なのよ!!今から何処に行くか分かってるの!?海軍本部よ!スモーカーはああ言ってたけど、貴方たちだって多額の賞金がかけられた賞金首なのよ!どうなるか想像つかない!?」

そんなナミをポカーンと見つめた後、二人はまたニンマリ笑う。

「うふふ。そんなのは百も承知ですわ。だからこそわたくしたちは行くのです。」

「このままじゃあ大変な事になります。大丈夫ですよ!海軍さんだって馬鹿じゃあない。私達がなにか知ってるとなれば絶対に手を出すような真似はしてこないと思います」

「わたくしたちが目指すのは海軍さんとの協力。あわよくば協定を組めればと・・・」

チチカナの瞳がスラリとナミを捉える。

「きょ、協定なんて無理にきまってるじゃない!元帥はあの赤犬なのよ」

「大丈夫。なんとかなりますよー」

「そうだな。なるよーにしかなんねぇしなぁ」

あははと笑うルピタとルフィにナミは更に頭を抱えた。
そして思うのだ。
彼女はルフィと同じ類の人種だ。と。

「とにかくよ。俺たちの仲間を元に戻さねぇと!」
「そうですわね。早めに終息へ向け手を打たねばなりません」

「ナミさん!安心してください!なんとかなる。いやしてみせますから」

「・・・そうね。もうこうなっちゃった以上なるようになれよ!!」


牢の中で、四人はコクリと互いに頷き合う。


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