その頃海軍本部は慌ただしく動いていた。
先日起きた狂気殺人についてもそうだが・・・。
「なんじゃと?」
元帥であるサカズキはピクリと眉を上げた。
「スモーカーからの電話。なんでも、あの小娘・・・炎剣のルピタと魔笛のチチカナが今回起きてる狂気殺人に関しての話し合いをしたいって連絡だよぉ?」
サカズキに報告をするボルサリーノは、どことなく他人ごとのようにような口ぶりだ。
サカズキの脳裏にあの戦争が蘇る。
「・・・海賊なんぞと話し合いしとる暇なんぞない」
「言うとおもったよぉ。でもさぁ。スモーカーの部下までそんなになっちゃったって話だよ?」
「使えんようになったなら捨てればいいだけじゃあ。もともとG5の連中はその辺のチンピラと同じ類じゃけぇ」
「そんなこと言ったらスモーカー怒ると思うけどねぇ。」
「そんなことより麦わらのルフィ。及び船員1名を捕らえたっちゅうのは本当か?」
「さぁね。わっしもさっき連絡を貰ったとこだから真偽の程はわからんよ」
ボルサリーノはそう言いながら自慢のサングラスを磨き始める。
「失礼します!!」
「なんじゃあ?」
そこへやってきたのは一人の海兵。
「はっ!報告致します!またもや黒いダイヤルによる被害が・・・」
その報告にサカズキは深いため息をついた。
サカズキも体験したことのない事例。
このまま放っておく訳にもいかないことはよくわかっていた。
「この世界は今どうなっちょるんじゃあ・・・」
窓から覗く曇天の空をサカズキが睨む。
「で。どうするのさぁ?話し合い」
「・・・」
ボルサリーノがサングラスを丁寧に拭き上げながら呟く。
「わっしは話を聞いてみてもいいかなぁ。って思うよぉ?」
「何故じゃあ?」
「このままじゃあこの事件は収束するどころか、拡大する一方。奴らが何か知ってるのは本当だとおもうんだよねぇ」
ボルサリーノはサングラスをかけるとサカズキに向き直った。
「“海賊"が、わざわざ“海軍"に“話し合い“って形を持ちかけてくるなんてさぁ。滅多にないことだと思わない?」
「・・・」
「これはわっしの意見だよ。後はきめてくれよ。元帥殿」
ボルサリーノはそれだけ告げると部屋を後にした。
サカズキは小さく舌打ちをすると、また曇天を睨む。