「炎剣。てめぇに聞きたいことがある。」
「え!?な、なんですか?」
「“きょうりゅうびょう“ってぇのは何なんだ?」
その言葉にルピタとチチカナは目を見合わせた。
「あん時・・・あの戦争の時言ったろ?俺達が狂った海兵に襲われたとき。きょうりゅうびょうって・・・!俺の仲間があの時の海兵みてぇになっちまったんだよ!頼むルピタ。教えてくれよ」
ルフィはそう言って唇を噛み締める。
その話しを聞き、ルピタ、チチカナは何かを確信した。
「わかりました。全てお話します。信じてくれますか?」
ルピタが真っ直ぐな瞳をスモーカーに向ければ
スモーカーは無言で頷いた。
そうすればルピタは話し出す。
自分たちが別の世界から来たこと。
そしてその狂竜病は
その自分たちの世界に生息するモンスターから感染する病気だということ。
「狂竜病は非常に危険な感染病です。その威力に体がついて行けず死に至る場合もあるんです。」
「恐らくその症状からして、狂竜病に間違いは無さそうですわ。そしてその霧に狂竜ウィルスが含まれていた・・・そういうことですわね」
スモーカーはにわかに信じられないと言わんばかりに煙を吐く。
しかしこの二人が話した通りの事例を
目の当たりにしているのだ。
「海軍さん。わたくしからも1つお聞きしたいのですが」
そこで口を開いたのはチチカナだった。
「なんだ?」
「黒ひげ・・・ティーチさんが脱獄をした時。その脱獄を手助けした海兵の事ですの。名はルシファ。彼は何故海軍にいらっしゃったのですか?」
スモーカーはバツが悪そうに眉間にしわを寄せ、煙を吐き出すと
チチカナに視線を向ける。
「俺も詳しいことは知らねぇ。ただ奴は保護された奴だった。見たこともねぇなりをしてやがったから尋問したが何も吐きゃしなかったらしい。ただ珍しい薬の調合法の知識やなんかを持ってたみてぇで、海軍の化学班に引っ張られて行きやがった。それからは知らねぇな。俺ァ化学班とは全く縁がねぇもんでよ」
「そうですか。ありがとございます。」
チチカナはそう言ってフワリと笑う。
「その狂竜病とやらの治療法はねぇのか?ゴロツキばかりのクソ野郎どもだが、俺の大事な部下でもあるんだ」
スモーカーの問いかけにルピタは言いにくそうに口篭る。
「治療法は、確立されていません。私達はそれを予防し耐性をつける予防接種は受けていますが・・・。こちらの世界で既に蔓延しているとなると・・・」
その言葉に一同は何も言えずにいた。
誰一人口を開くことはない。
「でも何かしら手を打たねば、この世界は狂気に満ちることでしょう。そうですわね・・・。中将さん。その化学班とやらにわたくし達の血を提供させて頂けませんか?」
「血?」
「はい。わたくし達には狂竜病のに対する耐性がありますの。わたくし達の血からその血清を作り上げられないものでしょうか」